第6話 顔 ページ28
嫌だっつってんのになんでこの神様この野郎は特訓をさせたがるのか!!!!!
次の日。木々がぶっ倒されたおかげで薪だのなんだのを拾いやすくなったのは細やかないいことだった。いや全然いいことではないんだけれども。ちっとも、全く。
嫌だ、と言ったのに特訓をさせられている私は、型を叩き込まれ、斬り込み方を教わっている。
「こう、な? ぐわぁ、と。ぐわぁじゃ、ぐわぁ」
「鴨かアヒルの鳴き声ですかねそれは」
なんだぐわぁって。分かるかそんなん。分かりたくもないわ。
なんだこれ。なんで私はそろそろ十一になろうとしてる時に神業なんかを習得させられようとしてるんだ。嬉しくないわそんな誕生日プレゼント。ノーセンキューだわ。
……っていうか、前世からのカウントなら私もう三十……やめだ考えるな。考えたら負けだ。
それでもやらずにはいられない。これはこの一年で身体に染み付いた癖というか、もはや呪いのようなものだった。
神様に「やれ」と言われたらやるしかない。なんかもう本能がそう言ってる。全力で抵抗したりするけど、そんなことしたって鍛錬の時間がアホみたいに増えるだけなので早々に諦めるのがオチだ。
今回だって頑張って抵抗してみたら、地面に転がされて刀の切っ先を首筋に向けられ、低く、それでいて優しい声で「やるよな?」と脅された。マジで怖くて口から「……はぃ」しか出なかった。優しい声色なのがめちゃくちゃ怖かった。
「ぐわぁって……分かんねぇよそんなん……なんだぐわぁって……」
「んーなんて言うかのぅ……。こう、なんじゃ…………ぐわぁ」
「説明になってないんだよなーー!!」
刀を握ったままうおおおおと振り回す。でたらめに振るそれをひょいひょいと躱す神がそれはもうイラついて、このままぶった斬ってやりたくなった。無理だろうけど。
なんて、思っていたら。
「あ」
「え」
神様のお面の紐が、切れた。それはもうサクッと、小気味好く。避けた時に、刀の切っ先が紐を掠ったんだと思う。紐が切れたお面は支えを失って、そのまま落下。
かこん、となんだか軽い音がした。
「っあ゙ーー!! おぬ、お主何やっとるの!?」
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時