【鬼滅の刃】神様の巫女 拾壱

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もう一方の兄さんの肘が、引っ張られた私の腕に落ちてきて、その手は刀を握っていた手で、利き腕で、右腕、で、その腕が、関節がないところが、関節の先の方のところで、凹んでいて、折れて、いて。


「〜〜〜〜っ、あﾞ」


自覚したと同時に激痛が頭を灼き尽くす。
痛い、熱い、痛い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛いいたいあついあついいたいいたいいたい！！！
なんでこんな痛いの。今までだって腕が折れたり肋が折れたりしたけどここまで痛くはなかった。やだ、嫌だ痛い、痛い。熱い。無理。やだ。こんな、痛い。

ドゴッ。


「っ、が、ぁ」


痛みで我を失いかけた私のお腹に強い衝撃。肺から全部の空気が溢れて、呼吸が一瞬止まる。
抵抗なくそのまま吹っ飛ばされて、重力に従って地面に叩きつけられた。ごろごろ転がって、止まる頃には砂塗れ。辛うじて見えた視界からは辺りにあった木がなくなっていて、森から抜ける程の強さで蹴られたのかと頭の隅でぼんやり思う。
腕の痛みとお腹の痛みで立ち上がることなんて出来ずに、無意識に痛みを和らげようと体を丸めた。体のどこもかしこも痛い。腕もお腹も背中も全部痛い。


「ぇﾞ、おえﾞぇっ……！ っは、ぁﾞぐっ……げ、ぇ……っはぁーっ、っは、ぅ、んんﾞ、あﾞ、っは」


びしゃびしゃと口から吐き出された胃液が地面を濡らす。口に広がる独特の酸味とツンとした嫌な匂い。そういえば私、列車に乗った時ってお腹空いてたんだった。何も食べてないから、胃液しか吐けるものがないんだなぁ。


「大丈夫？ 痛いでしょ。疲れた時の痛みって、いつもの倍感じたりしない？ ……あ、吐いてる。可哀想。辛いね」


兄さんの柔らかい声が遠くに聞こえる。痛みと吐き気で頭がぼんやりしてきた。
腹筋に力を入れていなかったから、兄さんの蹴りがモロに入ってしまったらしい。変な方向に折れた腕と、内臓をぐちゃぐちゃにかき混ぜられたかのような気持ち悪さのお腹。痛みと酸素不足で現状の打破を考えることができない。止まらない吐き気に更に気持ち悪くなった。

心臓の音と血が巡る音が鼓膜を叩き回す。その向こうで、地面を踏み締める足音が聞こえた。

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