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飲み物は頼まなかった。綺麗に磨かれたグラスには氷と水。店内には疎らに人がいた。


氷は透き通っていて普通の喫茶店で出される氷とは一味違った。まじまじと見ると見える気泡も美しかった。
こんな所にこだわっていないで珈琲の味を上げる努力をしたらどうだろうか、と私が言っていいのか。


トントン、トットトン。Aが机を叩いた。
「夏油くん、なんで私を呼んだのか教えてよ」

笑顔だった。
対照的に私の顔は明らかに引き攣った。北風と太陽。太陽のような笑みを浮かべる彼女に私は着込んだコートを脱がなければいけなかった。


恐らく聡い彼女はこれからの展開を読めている。それでこの質問を吐いたのだ。

己が死ぬことになったとしてもいいということなのか。本当に?私が良くないと怒鳴りたい。
彼女のどこが自己満足の自分本位だ。私のために命を擲つようなAが?


Aの目が私に言う。早く言えと笑っている。悪魔だと思った。いっその事悪魔ならば彼女のことを殺さずに済むのに。


「呪術師だけの世界を作るんだ」
私達(呪術師)は人間だ。

「そっか」

ベストアンサーだ。Aは優しく笑った。目には慈愛と憐れみと何もかもが篭っていた。それを見ると私は喚き散らしてしまいたくなる。
目に付くもの全てを投げてぶつけて、しゃがみこんで泣きたい。


「じゃあ、私は要らないね」


是も否も言えなかった。要らないと言えなかった。欲しかったから。でも欲しいとは尚更言えなかった。


Aと歩む人生を想像しなかったわけではない。恋仲になるかならないかなどのちっぽけな話ではなく、彼女が呪術師の界隈で名を馳せる科学者になり共に歩んでいく道だって、あったはずだ。

ここで踏み止まるならあるかもしれない未来だ。もう、遅い。むしろまだ早いのかもしれない。


Aは高校生でその力などない。私は特急呪術師として認められていて力がある。それだけだ。


彼女に力があればこのような思想を現実に描くことはしなかっただろう。逆も然りである。私に力がなければこのようなことはしなかった。

何が悪いとはもう言わない。言うならば世界が悪い。世界を作った神か?誰も何も答えない。



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夏炉(プロフ) - 最後までお付き合い頂きありがとうございました!!私も全力で私好みの作品を作ろうと力を尽くしたのでそう言っていただけると書いてよかったという気持ちになります。閲覧頂きありがとうございました!! (2020年12月30日 17時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後まで楽しませていただきました!!終わり方も私の性癖にぶっ刺さりました!!素晴らしい作品を誠にありがとうございます!! (2020年12月30日 14時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - お空の蒼い月さん» 閲覧頂きありがとうございます!!対比は私が好きにかけた所なのでそう言って貰えるととても嬉しいです!!もう少しだけ続きますのでぜひお付き合い下さい!! (2020年12月30日 1時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - とても面白かったです…!表現の仕方や移り変わりや対比がすべて美しくて…もうこの作品を読んだあとだと、私の少ない語彙力で素晴らしさを表現できません。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月30日 0時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - 希乃夏さん» コメントありがとうございます!!お褒め頂いて大変嬉しいです!!更新頑張りますのでよろしくお願いします!! (2020年12月20日 19時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏炉 | 作成日時:2020年12月15日 20時

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