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「俺は人の為にやってんだろ。呪霊ちゃんと祓ってるし、俺は別に祓わなくても困んねえもん」
自分のためなら俺に支障がある分だけ祓えばいい。



アイスにストローを刺した。メロンソーダにアイスを沈める。上がる水位、溺れるアイスクリーム。
クリームソーダになった。

綺麗な緑が少し濁る。嗚呼。なんとも言えない気持ちになる。



「君のそれは義務だ。私のような呪霊を見えない人間に言われるのは嫌かもしれないが、言わせてもらうよ」

最強が自分勝手な行動をしたら世界が滅ぶ。君は呪霊を祓う運命の星に生まれている。


Aは真っ直ぐ悟の目を見ていた。青が黒に映ってしまいそうで何かに駆られる。衝動的な怒り?深い悲しみかもしれない。


Aが私を目に映したとしてそこに私は映らない。黒に黒は映し出せない。それがどうしようもなく腹立たしい。


「夏油くんは人の為に動ける人間だから良い人なのかもしれないね。さっきの仮定に当てはめるとだけど」

珈琲を飲んだ。ふわりと顔を綻ばせる。やはりここの珈琲は美味しいのだ。嬉しくなった。



「傑が良い人とか笑えるな、こいつはクズだよ」


べ、と舌を出して顰めっ面をする。靴を踏む。ブランド物だろうが十万はくだらないものだろうが知ったことではない。

いってえな。睨んでくる悟ににっこりとした笑みを向ける。悟はズズ、と音を立ててクリームソーダを啜った。




「ま、仮定の話だよ。私が夏油くんのことをいい人と思っているかは別問題」
どうでもいいでしょ、そんなの


優しい笑みを浮かべる。冷たい言葉との落差で風邪を引いてしまいそうだ。

優しい笑顔でその言葉を吐くのは恐らく彼女が他人からの評価を求めていないからなのだろうと思う。良い人、という評価すら彼女の中では無価値なのだ。

それは少し寂しい。他人からの評価を求めない彼女は何かを愛することがあるのだろうか。きっと恋は成立しないだろうな。



珈琲を一口。先程よりも温度が冷たくなったそれはまた違った味が現れていた。濃く現れる苦味。それすら美味しく飲み干す。



インスタントとの差は何だろうか。
店内には落ち着いたジャズが流れている。そのリズムにまるで合わないコツコツと机を叩く指。行儀の悪いズズっとクリームソーダを啜る音。



音で満ちた空間だった。満ち足りていた。



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最も強い→←黒を映さない黒



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夏炉(プロフ) - 最後までお付き合い頂きありがとうございました!!私も全力で私好みの作品を作ろうと力を尽くしたのでそう言っていただけると書いてよかったという気持ちになります。閲覧頂きありがとうございました!! (2020年12月30日 17時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後まで楽しませていただきました!!終わり方も私の性癖にぶっ刺さりました!!素晴らしい作品を誠にありがとうございます!! (2020年12月30日 14時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - お空の蒼い月さん» 閲覧頂きありがとうございます!!対比は私が好きにかけた所なのでそう言って貰えるととても嬉しいです!!もう少しだけ続きますのでぜひお付き合い下さい!! (2020年12月30日 1時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - とても面白かったです…!表現の仕方や移り変わりや対比がすべて美しくて…もうこの作品を読んだあとだと、私の少ない語彙力で素晴らしさを表現できません。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月30日 0時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - 希乃夏さん» コメントありがとうございます!!お褒め頂いて大変嬉しいです!!更新頑張りますのでよろしくお願いします!! (2020年12月20日 19時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏炉 | 作成日時:2020年12月15日 20時

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