無責任な自己完結 ページ13
.五条side
「あ、五条くんだ」
一人なの珍しいね。
任務帰りの事だった。今からその現場に行こうとしていたらしい。どうやって見つけ出しているんだ。
変な女だと思う。その黒が、闇が、夜が、鴉を連想させる。暗くて鋭い。
それなのにそれを使おうとしない。ただ明るくなまくらを振り回して楽しむような女だった。
「お前さ傑が好きだろ、なんで?」
思ったよりも低い声が出た。当たり前のことを聞くように聞こうとしたが少し声が強ばった。
Aは目をぱちくりとさせる。その後目に光が反射してきらりと輝いた。何もかもを吸い込んでしまいそうな瞳が明るく輝いている。
不思議と綺麗だと思った。ありふれた暗い黒。それなのに他と何が違うのだろうか。
「好きに理由なんている?」
笑っていた。確かにいらないなと思った。
「好きなところは沢山あるよ。君の隣で呆れる顔だったり、呪霊と向き合う時の表情だったり、不味い珈琲を飲む時の喉の動き、光が反射する黒い髪」
それでも、私が夏油くんを好きな理由なんて言えない。分からないよ。ただ、好きだなって思えばそれが正解なんだろうと思う。
人は恋すると美しくなるらしい。しかし俺はこいつにその変化が見られなかった。
傑に向ける笑顔や仕草からそうらしいことを見出したが、それでも分からなかった。だからこそ聞いたのだ。
語られる言葉には熱が籠っていた。情が篭もっていた。
「あっそ」
ポケットに手を突っ込んだ。裸銭の百円玉が手に触れる。少し冷たい。
.
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏炉(プロフ) - 最後までお付き合い頂きありがとうございました!!私も全力で私好みの作品を作ろうと力を尽くしたのでそう言っていただけると書いてよかったという気持ちになります。閲覧頂きありがとうございました!! (2020年12月30日 17時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
希乃夏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後まで楽しませていただきました!!終わり方も私の性癖にぶっ刺さりました!!素晴らしい作品を誠にありがとうございます!! (2020年12月30日 14時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - お空の蒼い月さん» 閲覧頂きありがとうございます!!対比は私が好きにかけた所なのでそう言って貰えるととても嬉しいです!!もう少しだけ続きますのでぜひお付き合い下さい!! (2020年12月30日 1時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - とても面白かったです…!表現の仕方や移り変わりや対比がすべて美しくて…もうこの作品を読んだあとだと、私の少ない語彙力で素晴らしさを表現できません。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月30日 0時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
夏炉(プロフ) - 希乃夏さん» コメントありがとうございます!!お褒め頂いて大変嬉しいです!!更新頑張りますのでよろしくお願いします!! (2020年12月20日 19時) (レス) id: 2b945b799d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏炉 | 作成日時:2020年12月15日 20時