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その言葉が意外すぎて。
辺りはしん、と静まり返った。

そんな状況を見て、一人、総統様は大声を上げて笑った。



「戦争に負けたのは悔しいが、実に楽しかったゾ?
ここまで追い詰められるとは思いもしなかった。
まさかあんな兵器があるなんてな!」


「はっはっはっ!!俺はこの国をなめていた様だ。
それは潔く認めよう!……だが、…残念だなぁ」


「この国は、長持ちしなそうだ」



笑い声を上げた後、嬉々としてそう告げる彼の迫力に、
辺りの人間は気圧され息を飲む。
…今から処刑される人間が、この場を仕切っている。
誰もがその異常事態に、ついていけなかった。


___兵器?

その言葉に俺は目を見開く。
慌てて兄さんを見れば、彼も少し驚いた様子で。
直ぐに俺は総統様に目を戻した。



直後、ハッとしたあちらの国の王だろう男が声を荒らげた。
「殺せ!!」と。
怒りを隠さないその姿は、とても醜く。

まぁ、これから自分が長を務める国が、
長持ちしないと言われて怒らない奴は居ないだろう。

___プライドが高ければ、特に。



王の命令に処刑人である一人の兵士が、
一拍遅れてギロチンの刃を支える縄を断つと、
無慈悲に、一直線。総統様の首を狙って、ソレは落ちていく。


___総統様が、死んでしまう。

このままでは。

見殺しにするのか?

我らが総統を、

このまま、

俺は、


俺、






「(_____駄目だ)」





動いてはならない。



嫌な汗が背中を伝う。
指先が、口が震える。
隣を見れば、彼は唇を噛んでいて。

手からは、血が垂れていた。

…あぁ、


駄目だ。





___動いては、ならない。








「-------」







顔を上げて、口パクで何かを言った総統様の首が、
笑みを浮かべたその表情のまま、宙を舞った。





.





ごろん、と地面を転がった笑顔なままなソレに、
辺りの人々は大声を上げて喜んだ。
完全勝利だと、叫ぶ声が聞こえる。
王がほっとしたような顔で胸を張っているのが、見える。



「…帰りましょう、兄さん」
「…そうだな」


ここに居るのが嫌で仕方なくて。
俺は兄さんに声を掛けるとその場を去った。



…総統様は、最後まで勇ましかった。
処刑を決して怖がらないその姿は、
王に屈しない、その姿は。



「(兵器とやらの情報を集めねぇとな)」



確かに、俺の背中を押したんだ。

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すみれいん(プロフ) - 構えていなかった為、まさかWrの国の方達がそうなると思っておらず、最初の2人でまじか…まじか……となり、続編に行く前にはティッシュを片手に持っていました。ありがとうございました! (2020年11月1日 14時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
仰げば尊死 - 今後にきたいしてます (2020年6月1日 22時) (レス) id: d6069bd4ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ショイ太郎 | 作成日時:2020年5月20日 9時

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