【銀魂】空から女の子が降ってきました。８

第三百ニ訓 ページ10

目の前の光景が、信じられなかった。




沖田「ッA…？」




朝、全く来ないので部屋に来てみれば……部屋はもぬけの殻。土方さんや近藤さんも絶句している。





沖田「なん、で」


土方「…………コレ、見ろ」





土方さんがそう言って出したのは、折り畳まれた白い紙だった。





近藤「？…それは」


土方「Aの机に置いてあった」


沖田「……見て、みやすか？」


土方「嗚呼……」





ゆっくりと紙を開くと、そこにはAの達筆な字が書かれていて。


三人で、手紙を囲んで読んだ。




紙の内容は……感謝と謝罪。




そして、ごめんねという文字だった。
滲んでいる事から、恐らく泣いたのだろう。





沖田「……A、どこ行っちまったんでしょう」





楽しかったなら、もっと居てほしかった。
辛いのなら、話して欲しかった。



Aに会いたい。今からでも、引き留めたい。



けれど、もう居ない。昨日まで笑顔を振り撒いていた彼女は＿＿もう、どこにも。




悲しい、悔しい、寂しい。




様々な感情が混じって……歯を食いしばった。




(っ、くそ……！！)





近藤「Aちゃんを連れて行ったのは＿＿＿＿父君か」


沖田「！」





重い空気を近藤さんが壊す。





沖田「多分、そうだと思いやすけど」


土方「連れ戻すつもりか？」





恐らくAは父である司欧に連れて行かれたのだ。過去の事を聞く限り…連れて行きたいから司欧は今になって戻ってきたのだろう。



だが、“朝霧”の船の場所も特定できていないし…今からでは遅いのでは？





近藤「Aちゃんが、まだ此処に居たかったってんなら……俺ァ居てもらいたい。あの子も俺の大切な仲間だしな」





それに、と続け近藤さんが此方を見る。





近藤「トシも総悟もAちゃんの事が大切なんだろ？惚れたんなら振り向いてもらうまで追っ掛ける。それが男ってモンだ」



「「ッ！？」」





(……ッたく…近藤さんには敵わねェや)





Aに返事を聞いてない。土方さんにも旦那にも負けられない。

こんな未練たらたらな状態で……追い掛けないなんて確かに腰抜けすぎる。





沖田「……俺ァ爆弾の方を探ってみやす」





それだけ言って俺は部屋から出た。



あのヘラヘラとした笑顔も自 殺に失敗し嘆いている声も。愛しい、綺麗な横顔だって。



好きにさせといて逃げるとか、絶対ェ許さねえ。




(待ってろ……A)










ー

第三百三訓→←第三百一訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す