第三百二十一訓 ページ32
辺りが、静寂に包まれていた。
トッ、トッ、トン……と床に転がっていく首。
______ガタンッッ、
土方「!危ねッ、」
刀を落とし、へたりこみそうになった私をトシが支えてくれた。
『ッ、すみませ、』
土方「いや別に良い。お前も疲れただろ?寝てろ」
ははは、珍しく、トシが優しいな…もしかして明日、雪でも降るんじゃあ……?
『はぃ…』
私はそのまま意識を途切れさせた。
_________
______
___
______ガタンッ、
『ん……』
土方「悪ぃ、起こしちまったか?」
『…アレ、トシ?』
目を開いてから視界に入ったのは、此方に手を伸ばすトシと、知らない天井。
『……此処は?』
土方「病院だ」
『病院……』
確かあの後、意識を失って……
『!!あ!司欧は、朝霧はッ…』
バッと起き上がろうとするがトシに制された。
土方「心配いらねーよ。司欧はあのまま死んだ、朝霧も全員を真撰組がしょっ引いた。」
『そう、ですか…』
土方「あの後朝霧の船が沈没したんだ、だから船は跡形もなく残ってねェ」
じゃあ私を連れて船から逃げてくれたのか…
『有難う御座います…あと、勝手に一人で行ってごめんなさい』
ギュッ、と布団を握りしめる。
目尻からは、いつの間にか涙が零れていた。
土方「………今日は、よく泣くな…お前」
『…アハハ……涙腺、緩くなっちゃった、なんて』
すると、ぐしゃぐしゃと頭を乱暴に撫でられた。
土方「別に、俺の前なら泣いても良いんじゃねーか」
『え、』
土方「もう既に伊東の時に泣き顔は見てんだよ。だから別に今更……」
あれ、なんかトシが優しい?
驚きながらも、私はふわりと笑った。
『ふふ、有難う…御座います、』
すると。
『ぅえッ』
スルリと頬を撫であげられた。
驚きの声を上げる私にお構い無しでトシは髪を掻き分けて、首元を指先で撫でる。
『え、あの、トシ…擽ったいんですけど……』
土方「………ここ、痕になってやがる」
『え?』
“痕”というのは恐らく…
『ああ…司欧に爪立てられた時の奴ですか?』
土方「……チッ、取れねェな…」
『いや取れる訳ないでしょ爪痕だし。って、ちょっ、こすらないで!?』
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トめAと@とめぇーとぉーの精霊:カド松さん:(プロフ) - すごい・・・・・私比較的地雷が多いけれど全く地雷に触れてない・・・・・ここまでおもしろいと思ったのには初めてであいました・・・・・!オリキャラとかもよく殺意がわくけど有君とかぜんぜん腹立たないというかもっとやってくれって思うっていうかもう最高です! (2022年3月30日 6時) (レス) @page34 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 阿呆代表の神さん» すみません、全部知らない……本当にごめんなさいアニメ知識不足で……!!代わりと言っては何ですが他のもののリクエストもっとください!本当にごめんなさい……!!! (2021年5月27日 17時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - もう銀魂が他の作品に侵食されつつあるの草。あの、もしまだやってなくて知ってるのなら、スケットダンス、ムヒョロジ、ボーボボ、ハガレン(これに至ってはもうジャンプじゃない)…この中でひとつでも良いので、知ってるものがあれば番外編でやって欲しいです…… (2021年5月26日 3時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雲隠れさん» ま、マジですか!?有難う御座います……!感動して頂けるなんて凄く嬉しいです!!これからも頑張ります!!! (2021年5月11日 7時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
雲隠れ - 泣きました。凄く感動しましたっっ! この小説最高過ぎます…。ヒロインかわいいし面白いし、とにかく最高なので何回も読み返させていただいています。これからも頑張ってください! (2021年5月10日 23時) (レス) id: 9c937fba5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2020年12月14日 23時