第三百十六訓 ページ27
『はァ、ハァッ、』
息遣いが、体に響く。辺りが騒がしいからか自分にだけ聞こえている、息遣い。
それに押される様に、私は長い廊下を走っていた。
侵入者という事で対応に追われているのか朝霧の団員はほとんど居ない。前方では…ただただ戦闘音が響き渡っていた。
(総悟、トシ、近藤さん…)
キョロキョロと辺りを見回しながら走っていると……
.
_____「A、何処だ!!」
『っ、あ』
どこからか、トシの声がした。
久し振りに聞くその声に涙が出そうになる。
「返事してくだせェ!!」
「Aちゃん!!!何処だ!!!」
続けて総悟に近藤さんの声。
複数の足音が聞こえる事から、真選組の半分くらいは駆り出されているのだろう。しかもトップスリーが総出で来るなんて、馬鹿だ。
そう思いながらも、私は声が聞こえる方へと走り…、皆がいるのであろう部屋の襖を開けた。
.
『!』
中には近藤さんとトシ、総悟が率いる一番隊が。
沖田「A!!」
動けないでいると、一番最初に私を見つけた総悟が大声を上げる。
その声でどんどん真撰組の皆が私に気付く。
土方「お前、その姿…」
トシが私の白無垢に気付き顔を歪めた。いつもならそれに乾いた笑いを零す筈だった、けれど。
『……ぁ、』
いざ対面してみれば、暖かくて。そしてこの人達を失う可能性があるんだと怖くて。
言葉も出てこなかった。
ただ、身体を震わせているだけ。そんな自分にまた嫌悪感が湧いてきたところで____
.
近藤「___!Aちゃん、逃げろ!!!」
『?!…がっ、』
後ろから誰かに拘束された。
沖田「A!!」
(動けない、苦しッ、)
司欧「……A、愚かになったなァ」
『!!』
後ろから羽交い締めにしてきたのは、司欧。後ろから聞こえるねっとりとした声が気持ち悪い。
司欧「お前は逃げる事でコイツらを失う。お前がいるせいでコイツらは死ぬ。そんな簡単な事が何故分からないんだ?」
『ッう、』
不味い、怒ってる。司欧は完全に怒ってる。あのクズイケメン伸したのが悪かったのかもしれない。
沖田「離っ、」
司欧「良いのか?少しでも動いたらお前らの大事なコイツの首をねじきるぞ」
沖田「ッ、」
ー
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トめAと@とめぇーとぉーの精霊:カド松さん:(プロフ) - すごい・・・・・私比較的地雷が多いけれど全く地雷に触れてない・・・・・ここまでおもしろいと思ったのには初めてであいました・・・・・!オリキャラとかもよく殺意がわくけど有君とかぜんぜん腹立たないというかもっとやってくれって思うっていうかもう最高です! (2022年3月30日 6時) (レス) @page34 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 阿呆代表の神さん» すみません、全部知らない……本当にごめんなさいアニメ知識不足で……!!代わりと言っては何ですが他のもののリクエストもっとください!本当にごめんなさい……!!! (2021年5月27日 17時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - もう銀魂が他の作品に侵食されつつあるの草。あの、もしまだやってなくて知ってるのなら、スケットダンス、ムヒョロジ、ボーボボ、ハガレン(これに至ってはもうジャンプじゃない)…この中でひとつでも良いので、知ってるものがあれば番外編でやって欲しいです…… (2021年5月26日 3時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雲隠れさん» ま、マジですか!?有難う御座います……!感動して頂けるなんて凄く嬉しいです!!これからも頑張ります!!! (2021年5月11日 7時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
雲隠れ - 泣きました。凄く感動しましたっっ! この小説最高過ぎます…。ヒロインかわいいし面白いし、とにかく最高なので何回も読み返させていただいています。これからも頑張ってください! (2021年5月10日 23時) (レス) id: 9c937fba5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2020年12月14日 23時