第参拾壱話〜密会 ページ37
夏は歩きながら、朧がさいごに呟いた言葉を何度も心の中でリピートしていた。
屯所につけば、自分が何者で誰が好きだったか忘れるだろう。朧との会話もきっと忘れてしまう。
夏はなんとなくそれが嫌で、わざわざ遠回りした。
「この着物、きっと高いだろうな。あのカラスが用意したものとは思えないわ。今回のことだって、あの男のシナリオなのかもしれない。私がプログラムされている男以外を好きになったのも。」
夏は月を見た。そして、「吉田松陽」と、呟いた。
「そこのお嬢さん。」
夏が勢いよく振り返れば、そこには深々とフードをかぶった男がいた。
「俺と、遊ばない?できれば船の上がいいな。そして、二人っきりで。」
夏は少し驚きながらも、やっぱりね。と、呟いて「いいわよ。」と言った。
数分の間、2人は無言で歩いた。
「ついた。」
男は少し小さい遊覧船を指さした。
夏はその船に乗った。男もそれに続く。
2人を乗せた船は、ゆっくり動いた。
「久しぶり、神威。」
「あぁ。」
男はフードを取った。
「神楽に、私が地球にいったこと、教えなかったのね。」
「うん」
「別れたとき、キスしたよね。」
「うん。」
「忘れたくないよ。」
「うん。」
神威は夏をそっと抱きしめると、帯を解いた。
朝、夏が起きたときにはもう、神威の姿はなかった。
「悔いはない、帰らなきゃ。家に。」
神威は阿伏兎と船の中から宇宙を見ていた。
「結局会いにいったんでしょ?」
「なんのことかな?」
阿伏兎は深いため息をつくと、なにも言わずに部屋からでた。
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九条千尋(作者) - ありがとうございます♪ (2016年8月13日 23時) (レス) id: b16442feb4 (このIDを非表示/違反報告)
桜子 - とてもおもしろっかたです (2016年8月6日 15時) (レス) id: 9903be7bbe (このIDを非表示/違反報告)
九条千尋 - 固定ですが、固定でも名前は変えられます!小説説明欄にある、大中小の隣にあるマークを押して下さい!後は説明どうりすれば名前を設定できます。 (2016年3月1日 17時) (レス) id: bb9da017ea (このIDを非表示/違反報告)
カントリーロード - 名前は固定ですかね? (2016年2月29日 11時) (レス) id: e8737af675 (このIDを非表示/違反報告)
九条千尋(作者) - あ、ありがとうございます!原作のように思って読んでくれたなんて!本当にありがとうございます! (2015年12月2日 22時) (レス) id: 8e776f80d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九条千尋 | 作成日時:2015年11月3日 23時