46 ページ46
＊
＿
チーノ
「そういえば、なんでコネさんおったん…？
俺急いでトントンのとこ行ったら『コネシマが居る』って言われてんけど」
ジューッと音がした
見れば氷のみになったカップの中身を吸い上げようとした音らしく
不愉快だと思って手を振ると、チーノはケラと笑った
コネシマ
「…お前俺が何との融合体か知ってるんやっけ」
チーノ
「えっ、サソリ」
コネシマ
「蜘蛛は蜘蛛って言ってる様なもんやけどそれ」
チーノがギュッと眉を寄せた
どうやら俺の素性はまだ知らんかったらしい
まぁそらそうよな
あまり出してないわけやし
コネシマ
「お前は蜘蛛の中でもアシダカグモやろ？
俺はオブトサソリって呼ばれてんねん」
チーノ
「へー…まぁデカいもんなぁ尻尾」
コネシマ
「せやろ？
んでなぁ、オブトサソリって…別名でデスストーカーって呼ばれんねん」
デスストーカー
それは、付き纏う死とかって意味になる名前で
国によってはそう呼ばれる
コネシマ
「どうやら人間側もサソリ側も執着心が強かったみたいでな」
人間の記憶は、色々なものに飢えていたことだけ覚えている
欲しいものは与えられたが親は居ないし
顔も知らない白衣を纏った人間達からまるで愛情を持つ様に接されても
それは暴力と呼ばれるものだった
欲しいものは、欲しいものは、
与えられる飴玉だった
耐えきれなくなった頭痛、吐き気、眩暈
震える体はどれだけ成長しても
ぐちゃぐちゃになりそうな脳みそがどれだけ知識を蓄えても
その飴玉一つが無くては生きていけない様な体だった
今ならそれが薬であり
人間は生まれて死ぬまで、実験台だったことを意味すると分かるが
飢え続けていたが誤魔化すのは全て飴だった
報酬の飴を受け取り人を殺して飴を食らい
もう十分だと殺された
そして混ざったサソリの獲物への強い執着と、自身の中にある空虚なもの
それを満たすための執着が渦巻き続けているのが俺だった
飴で満たされていた愛だとか欲だとかが
生まれ変わることによって空っぽになって帰ってきたから
コネシマ
「アヤが、俺の飴やねん
追いかけるに決まってるやろ」
チーノ
「……へぇ」
コネシマ
「興味無いなお前」
チーノ
「うん」
この野郎、と耳を引っ張れば
チーノは痛い痛いと笑ってみせた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かみぶくろ*(プロフ) - 新作ありがとうございます。蠱毒が題材のお話、怪異やオカルト系が大好きな自分にとってすっっごく嬉しいです…！毎度の事ながらの細かい設定やそれぞれの愛し方と主ちゃんの感情がどう揺れ動いて行くのか楽しみです。主様のペースで更新頑張ってください！ (3月3日 4時) (
レス) @page20 id: 789bc89d04 (このIDを非表示/違反報告)
名無し39379号(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！更新楽しみにしてます！ (3月1日 22時) (レス) id: 1f2f1ad35c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白瀬妖
| 作成日時：2024年2月29日 21時
