その26 ページ27
〜読者side〜
響也は奈子ちゃんが出ていったのを確認してからイーヴの正面に座り直す。
彼は気づいていないふりをしてスマホを取り出した。
響也はイーヴに聞こえるよう、わざと大きく咳払いをする。
「イーヴ……いや、
Z事務局内ではコードネームで呼ぶのが基本なので、今までZビル内では「誠」という単語を発していなかった。
だからイーヴは驚いたように顔を上げた。
目があったところでそれを見逃すまいと響也は話を続けた。
「なんであんなこと聞いた?」
「…さあ?なんでだろうね。」
いつもの投げやりの態度。
余裕気に笑い再び視線を落とす彼を見て、響也は苛立たし気に眉をひそめる。
「もし怪しまれたらどうするつもりだった?」
「大丈夫だと判断したから聞いたわけだし。奈子ちゃんそういうの鈍そうだから大丈夫でしょ。」
イーヴはスマホを触りながら興味がないといったように言う。
その様子に響也のイライラが募っていく。
ここで喧嘩をしてはいけない。
そうわかっていても響也には止めることができなかった。
「…そんな適当だからあそこから追い出されたんだよ。」
吐き捨てるように響也は静かに呟いたが、イーヴにも聞こえていたようだ。
「……なに、急に。」
自分の嫌な記憶を掘り出すようなことを言ったためか、イーヴはスマホの電源を消してポケットに突っ込んだ。
そして、ゆっくり面を上げる。
「そのことは二度と口にするなって言ったよね?」
さっきの表情と打って変わって鋭い瞳で響也を睨んだ。
響也も負けじと睨みかえす。
「…あの日からまだ懲りていないのか。その態度が気に入らなくて父上に追い出されたんだろ。」
「……黙って。」
「その態度直さないと一生家に帰れないよ?」
「黙れって。」
「このままだと弟君が後を継ぐんでしょ?兄として悔しくない訳?」
バンッッ
イーヴが机を叩いて勢いよく立ち上がる。
「黙れっていってんの!!」
上から怒りの目で睨まれたため、響也も立ち上がって言い返す。
「なんで黙らなきゃいけないわけ?」
しばらく睨みあっていたが、騒ぎを耳にして部屋に入って来た事務局メンバーが間に入り強制終了した。
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エリジャ(プロフ) - Liumさん» はじめまして。えっとLiumさんの当時の名前、なんとなく察しました。ファンだったのでコメントしてもらえて嬉しいです。更新頑張ります。コメントありがとうございました。 (2017年6月8日 16時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
Lium(プロフ) - はじめまして、Liumと言います。昔ここでkzの二次小説を書いていました。当時の名前は公表できませんが?私の作品を掲載してくださり、ありがとうございました。お話、とっても面白いです。これからも頑張ってください。 (2017年6月6日 16時) (レス) id: 38bf6f40ac (このIDを非表示/違反報告)
いちご - エリジャもファイト! (2017年5月15日 13時) (レス) id: 8bd1bf5214 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - いちごさん» ああ、確かにそうかも……まあどっちもどっち、だね。笑 頑張れ、いちご!! (2017年5月15日 13時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
いちご - エリジャさん» でも、期末の時に範囲が半端ないから・・・。 (2017年5月15日 13時) (レス) id: 8bd1bf5214 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/erijya/
作成日時:2016年5月26日 20時