021【上杉&小塚】 ページ23
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「...だけど、それでもきっと僕はこれからも鬼に同情します。あんな姿に変えられて可哀想だと思わずにはいられませんでした。
.....でも!」
ぐっと拳を握りしめた。
「
空腹で理性を失い人間を襲う鬼。それは絶対にしてはいけないことだから。決して許されないことだから。」
..."同情"と"情け"
似ているようで違うその2つ。
それをしっかりと区別をつけ話す小塚は凛としていて。
その姿がどこか立花と重なって見えてドクリと心臓が音を立てた。
湿気を含む風が頬を撫でて過ぎていく。
「...僕は、鬼となってしまった上に元は同じ人間だったり、自分の親兄弟を殺し、傷ついた鬼たちをこれ以上苦しめないために、刀を振るいたい。
自己満足かもしれないけれど、そうすることで鬼を救いたいんです。」
そう言うと小塚は頭を深く下げた。
「お願いします!僕らに鬼殺隊の入り方を教えてください!」
そんな小塚をどこかぼんやりと見ていた俺も慌てて頭を下げる。
まだ暗がりの地面を見つめながらゆっくりと目を伏せる。
...勘違い、してた。
少しおっとりしてて鈍臭い小塚を引っ張っていかねぇとって心のどこかで思ってた。
だけど、その必要はなかった。
だって、こんなにもこいつは自分の考えを持っていて、それに向かって進もうとしてる、小塚はきっと俺よりも強いから。
そんなことを考えていると、静かに俺らを真っ青な透き通った瞳でじっと何かを見極めるかのように見つめていた半々羽織の人が口を開いた。
「...狭霧山に行け。そこにいる鱗滝左近次という老人を尋ねろ。冨岡義勇に言われてきたと言え。」
狭霧山...?鱗滝左近次...?
冨岡義勇...っていうのはこの人の名前か?
小塚と顔を見合わせ首を傾げている間にシュッ...と冨岡さんは消えてしまった。
な、何だあれ...
一瞬で消えた冨岡さんに目を見開き、鬼殺隊ってあんなの出来るようになんなきゃ行けないのかなぁ と先程の凛々しさはどこに行ったのか眉を下げた小塚。
いつも通りのその様子に少しだけほっとした。
そして、そんな自分を誤魔化すように 取り敢えず行くぞ と声をかけ、俺らは朝日が昇ってきた街中を歩き出す。
白む空に橙色の朝日は、とても美しかった。
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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時