019【上杉&小塚】 ページ21
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「お願いします!」
小塚と2人で声を合わせ、頭を下げた。
そんな俺らを無表情で見つめる半々羽織の男。
俺らが初めて会った鬼殺隊員だ。
...つい先程、初めて鬼と思われる気味の悪い化け物に遭遇したら、この人が来た。
音もなく上から降ってきたかと思えば、サクッとそのまま鬼の頸を飛ばす。
月明かりに照らされてその刀はまるで夏の海のように煌めいていて思わず見惚れた。
静かに刀を仕舞うと俺らを一瞥しまたそのまま立ち去ろうとするその人に慌てて声をかけ、鬼殺隊に入る方法を尋ねた...が、それからずっとこの調子。
ただただお互いに見つめ合うだけの謎の空間が生まれる。
...聞こえてる、よな?
困惑して思わず小塚と顔を見合わせていたら、ふと低い落ち着いた声が耳に入った。
「...何故だ。」
「え...?」
「何故それを聞く。鬼殺隊に入るつもりなのか。」
「あ、は...」
「やめておけ。ムリだ。」
は?
「えっと、何が...」
「お前らに鬼は殺せない。」
「なっ...」
その言葉に思わず眉を寄せた。
なんの根拠でそんなことを言うんだって思って。
だってそうだろ。
俺ら、今初めて会ったんだぜ?
もしそれが俺らが弱いからっていう理由なら正直納得出来ない。だって、この人のさっきの動きを見ていて確信したけど、やっぱ鬼の頸を斬るためには相当な力が必要なわけだし、持久力も必要だ。
それを現時点の俺らに求められても...っていうのが感想。
俺らはまだあまりにも鬼殺隊や鬼について知ることが少なすぎる。
もっと情報を集めてから鍛錬したりするべきだと思うんだ。
だって、それが1番効率的だろ。
無闇矢鱈に鍛えたって意味ねぇよ。時間の無駄だ。
だから、そんな思いを込めて一言尋ねる。
「それは一体どういう意味ですか。」
「...そのままの意味だ。お前らに鬼は殺せない。」
「何故ですか。僕らが弱いからですか。それとも別の理由が...?」
真っ直ぐに半々羽織の人を見つめる。隣では小塚が少しおどおどした様子でこちらを見ていた。
お前ももう少しシャキッとしろよ。
印象、悪くなっから。
「それもある。が、1番の理由は...優しすぎるからだ。特にそっちのお前。」
そう言って指さされたのは...
小塚だった。
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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時