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美門side
込み上げてくる怒りに静かに息を吐いた。
...憎い。
憎くて、憎くて堪らなかった。
アーヤの、俺らの幸せを壊したその化け物が。
自分にこんなにも醜い感情があるなんて知らなかった。
鬼は可哀想なものかも知れない。
そいつらだって、咲希の話によれば、勝手に鬼にされて、どんなに辛かっただろうか。
そんなものになりたいと思うやつなんていないでしょ。
でも...それでも許せなかった。
鬼は滅殺。遭ったら殺す。人間じゃないなら構わない。とりあえずズタズタに切り裂く。
可哀想だとかそんなの知るもんか。
俺らの大事なもん奪ったってことはそういうことでしょ。
そう思いつつも、目を瞑り、深呼吸を繰り返す。
ここは、人の家。勝手に怒って騒ぐのはご好意で泊まらせてくれるこの家の人に迷惑をかけるわけにはいかない。
俺は
静かに目を開いた。
覚悟を、決めた。
「...俺、鬼殺隊入る。」
周囲を見回してはっきりとそう言った。
絶対報復してやる。
これから先、ただその存在に怯えて暮らし、襲われたら襲われたで、降りかかった血の災厄に悲嘆と怨嗟するだけとか有り得ないでしょ。
アーヤの家のような人たちを増やさないためにも " 悪鬼滅殺 " する必要がある。
同じ志を持つ同士も、その刀も貰える鬼殺隊に入らない理由がない。
「絶対ズタズタに斬り裂いて鬼を滅殺する。」
その言葉に呆れたように俺を見る。
「ズタズタに斬り裂くって...お前、相変わらず顔の割に過激なこと言うよな。」
「当たり前でしょ。人を喰ったんだからそのぐらいの報い、当然。そう言うお前は違うの?」
「...まあ、そうだね。やっぱり初めに四肢を落として、動けなくさしてから滅多刺しがいいかな。
頸斬るまでは死なないらしいしね。」
「いや、お前が1番怖ぇわ。」
そんな会話をしながら珍しく若武が表情を引き締めた。
そして、立ち上がって、堂々と俺らを見回す。
「俺も鬼殺隊に入ろうと思う。先程、美門も言ったように悪鬼滅殺という目標の元、俺らは鬼殺隊に入るべきだと考えたからだ。
...お前らはどうする?」
その言葉に顔を見合せ、ふっと笑う周囲。
黙って頷き合い、不敵な笑みをみせる。
口に出さずとも、俺らの心は1つに纏まっていた。
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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時