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上杉side



「おっ、あそこに家あんぞ!!」


「あ?何つった?」



周りの音が聞こえないほどの豪雨に見舞われ、ずぶ濡れになった俺たちは田んぼ道の中、ぽつんと立っていた家にたどり着いた。


藤の花の家紋がついている。
綺麗な家紋だな。



力いっぱい、ドンドンと若武が戸を叩いた。




「すみませーん!」




その間も少しでも雨を防ごうと集まる俺ら。


ちょっ、押すなよ。近すぎだっての。



グイグイと押しあっていると戸が開き、反射的に姿勢を正した。目を見開いた俺らと同じ歳くらいの少女。
そして、若武が口を開く前に、グイッとその腕を引いた。




「ずぶ濡れじゃないですか!!早く入って!」




その言葉に顔を見合わせ、ありがとうございます! と全員で言うと促されるまま、そそくさと家にあがらせてもらった。




_________



家にあがって早々、風呂に入れられた俺ら。

冷たくなっていた身体がポカポカと温まり、用意されていた着物に身を包み、正座していた。



っつうか、何でこんなピッタリなの、この着物。俺ら身長バラバラなのに全員丈合ってんだけど。




そんなことを思っていると、目の前にいる先程の少女...咲希が視線を上げた。




「...残念ながら、そのような女の子は存じません。」



「そうか...」




思わずガッカリした声を上げ、項垂れてしまった若武を見て、軽く、その太腿を抓った。



何すんだ! と言わんばかりに睨みつけてくる若武に無で咲希に視線を向ける。そこには申し無さげに眉を下げている咲希の姿。
若武がきまり悪そうな表情になる。



だが、それも躊躇うようにモゴモゴと口を動かしていた咲希によって一変した。




「ですが...その皆さんの言う "化け物"には心当たりがあります。」





...なっ...!




「それ、本当か!?」





目ん玉が飛び出そうなほど目をかっぴらき、食い入るように咲希に詰め寄る若武の襟を黒木が引っ張りながら、いつもの艶やかなとても同じ歳とは思えない色気のある笑みを浮かべる。


ポッと赤くなる咲希。




...流石、黒木。呆れを通り越してむしろ尊敬するわ。俺には絶てぇ無理。





「それ、詳しく聞かせてくれる?」





その言葉にハッと我に返ったようで、少々慌てながら咲希が口を開いた。





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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時

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