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·若武side
「若武...足跡の件や玄関の件がなくても、多分熊ではないと思うよ。」
「は?何でだよ!!」
思わず食ってかかると小塚はビクリと肩を揺らしつつ、説明し出した。
「えっと熊は基本的に雑食性で植物を主食としているんだ。もし仮にここに出てくるとしたら地理的にそれはツキノワグマ。でもツキノワグマは人を恐れていることが多いんだ。よく人間を襲ったって聞くのはヒグマなんかだよ。」
「え、でも...」
「うん。それでも熊が人を襲うって言うのは時々聞くよね。それは山中に食べ物が少ない時、或いは大豊作だった場合なんだ。
だけどここから一番近くの山は十分食べ物が今はあるし、アーヤの家は特に何かを作っているわけでもない。もし襲うとしても他の家を狙うと思うよ。」
きっぱりとそう言いきった小塚の言葉に静まり返る。
...じゃあ...
「だったら一体何なんだよ。何が、こんなことを...ッ」
「...人間の姿をした、気味の悪い生き物。 」
「は?」
「 " 化け物 " が、この家を襲ったんだ。」
俯いていた七鬼がゆらりと顔を上げた。
菫色の瞳をキラリと妖しく光り、部屋に入ってきた風が同じ色の長い髪を靡かせる。
その姿が何だかいつもの七鬼とは違って見えて、背筋がゾクッとした。
思わず息を詰め、じっと七鬼を見つめる。
何故か目を逸らせなかった。
...七鬼.......?
「えっ...ど、どういうこと?」
そんな沈黙を破るように戸惑いの表情を浮かべながら小塚がそう尋ねると七鬼が視線をこちらに向け、困ったように眉を下げた。その姿はいつも通りで少しほっとする。
「いや...俺にもよく分からないけど。ただ...祐樹さんがそう言ってた。」
...は?
ほっとしたのも束の間、思わずポカンと口を開けた。
祐樹さん...?
「七鬼...お前、疲れてんのか。」
「やっぱり辛いよな...それは、分かるけど...な?」
上杉と俺が同情したようにそう言うと七鬼は首を横に振った。
「確かに祐樹さんたちが亡くなったのは悲しいけど、そうじゃない。今、さっきまで祐樹さんがいた。」
「...七鬼、本当に大丈夫?」
鼻が余程辛いのか、何とか絞り出すような声で美門がそう言うも、七鬼は軽く眉を上げあっさりと口を開いた。
「大丈夫だ。あのな、実は俺、今まで言ってなかったけど霊が見えるんだ。」
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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時