巾着袋は知っている。

帰り道 ページ4

はぁ･･･
ほんとどーしよ･･･

秀明の授業が終わって1人で帰る時も、その事で頭がいっぱいだった。
辺りはもうすっかり暗く、人もあまりいなかった。

はぁ･･･

2度目のため息をつくと、息が白くなった。


あ、もうそろそろ冬かぁ･･･
道理で寒いわけだ･･･

制服のジャケットしか着てないから、とても肌寒く感じる。

明日はもうちょっと着込んで行こうかなぁ･･･。


そう考えながら手に息を吐くと、急に横から衝撃が来た。

「わっ！」

驚いてよろけてると、横で小さい女の子が尻餅をついていた。


「あっ、ごめんね！気づかなくて･･･。大丈夫？」

急いで駆け寄り、手を伸ばそうとするとその手を払われた。

え？

呆気にとられていると、その女の子は何かに怯えたような顔をして必死に周りをキョロキョロしていた。

･･･何か探してるのかな？

そう思って私も周りを見ると、私の右後ろくらいに大きな紙袋が落ちてた。

「もしかして、これを探してるの？」

そう言ってその紙袋を差し出すと、引ったくるようにそれを取り、走り去ってしまった。


･･･なんだったんだろう、あの子･･･
なんかすごい怯えてたような･･･

あの子の走り去った方向を見ながら立ち上がると、少し大きめな黒い巾着袋が落ちていることに気づいた。

あっ！
もしかしてあの子の紙袋から落ちたのかも！


急いで後を追いかけたけど、大通りに出てしまった。
大通りは建物の明かりでまだ明るかったけど、人がとても多かった。

この人混みの中で1人の子供を見つけるのは無理･･･だよねぇ。


どうしよう･･･
･･･あっ！
この中身見れば、名前とか住所とか分かるかも！
そうすれば警察に届けてもらえるよね！

これで解決！と思いながら手に持っている巾着袋を開けると、中には3つのものが入っていた。

1つ目は手帳で、中には数枚の紙しか入ってなかった。その紙も、地図みたいだったけどよく分からなかった。

2つ目はなにかのボタン？だった。でもなんだか不思議で、ボタンが1つしかない上に透明なプラスチックのカバーがかかっていた。

3つ目は大量の粉だった。透明な袋に入っていて、テープでぐるぐる巻きにされていた。


なんだろ？これ･･･
それに、持ち主が全然わかんない･･･
今から交番に届ける？
でも、ここから交番って遠い上に反対方向なんだよね･･･

うーんとしばらく唸ってから、よしっと声を出した。

これは一旦持って帰って、明日にでも交番に届けよう！

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