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第五話「彼について」 ページ6

「それはまた災難だった。」
 優しい感情が籠ったオーナーの慈悲の言葉に、私は安堵し、溜まっていた感情が一気に口から飛び出る。
 「クッソがァ〜!!なんだあの集団!!面倒臭いわ!!!一人でいる事の何がいけないの!?私は自分の好きにしているだけなのに!!持ち上げているのは彼奴等でしょう?!痛いのよォー!!石で顔殴られんの!!死ぬかと思ったじゃないの!!!」
 私のその心から発せられた愚痴は、キャラの崩壊に繋がるが別にそんな事どうだって良いのだ。私は手元にあるマグカップをオーナーに突き出した。
「テキーラ!!」
「此処は酒場じゃないよ。あと珈琲で酔っ払ってるんじゃないよ。ちゃんとしなさい中本さん。」
「うぅ〜ッ」

リンチの後、私は大学を直ぐに出て、ボロボロの顔をすれ違う人々に見られないように髪を前にもって貞子の様にこの喫茶店に逃げ込んだ。
「それよりも良かった。あのヤバい人来てないのね。安心したわ。私あの人の事怖くて此処に来れなかったのよね。」
そう、店に入るまでは躊躇って居たが、自分の心を落ち着かせる為、止むを得ないと思い、思い切って入ってみたらそこにはオーナー一人だけだった。
「何だったのかしら、あの人。本当に盲人なのかしら。」
「そうだね。私も疑ったさ。だから君が帰った後彼に直接聞いてみたんだよ。
そしたら彼。」

『疑われるのも無理はありませんね。ですが本当に私は目が見えないんです。その代わり他の感覚が優れていて。現に今、私は貴方の感情を心音や臭いで感じ取る事が出来ますが、貴方がどんな顔をして私を見ているのかが分かりません。
彼女も、臭いや音で大体の人間性は掴めましたが一体彼女はどんな容姿なのかが分かりません。本当に残念です。』

「と言ってね。」
「私の容姿なんて知らなくていいわよ。」
「後、これも聞いてみたんだ。」

『彼女に本当に惚れているのか?あはは。真逆。単に面白そうだと思い揶揄っただけですよ。』

「彼がクソ野郎という事がよく分かったわ。顔も見たくない。」
「まぁまぁ。後、彼は優れた軍警の関係者だそうだ。凄いなぁ。盲人なのに良くやる。その日はたまたま、時間が空いたからこの店に来たそうだ。凄いなぁ。」
それが本当なら確かにすごい。目が見えないのに彼は軍警という私達を守る素晴らしい責務を全うしている。まぁ、初対面の所為で嫌な奴と認定されたが。
だが、そんな彼とはもう会わないだろう。
この時はそう思っていた。

第六話「あひゃあ〜」→←第四話「安全」



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 条野採菊   
作品ジャンル:恋愛
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時

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