第三十六話「家の用事」 ページ38
「成程、そういう事だったのか!」
あれから数十分、私は中島君に解りやすくこの小説のトリックを解説する。今まで誰かと喋った中で今日が人生で一番饒舌に話したのだろう。話疲れはしたが、中々他人と話すのは楽しいものだと今日大切な事に気付けたのである。
「どう、分かった?」
「はい!とっても!なんだか頭が良くなった気がします!」
「ええ!貴方は今日から名探偵よ!」
私と中島君が盛り上がっている中、水を刺すように私の携帯電話が音楽を鳴らし、小刻みに震える。携帯を開いてみると、そこには『お父様』と表示されていた。
「え、一体全体どうして貴方が居るの?」
「おや、失礼な。私がこの場に居たら可笑しいですか?」
「可笑しいわよシバキまわすわよ。」
怖い怖い、と小馬鹿にしてくる態度をとる軍服を着た条野さんが何故か此処に居るのだ。
そして髪を綺麗にセットし、慣れない化粧をし似合うか分からない高価なドレスに身を包む私が此処に立っている。
現場は高級ホテルのパーティ会場で周囲には豪華な食事、綺麗に着飾る紳士淑女達、キラキラ光るその景色に私は圧倒される。
そう、パーティである。今日はお父様が主催した会社のパーティに社長令嬢である私が呼ばれたのである。
しかし、何故お父様が主催するパーティに条野さんが居るのだろうか。疑問である。私のお父様と彼は接点があるのだろうか。
「条野だけでは無いぞ!」
後ろから聞き覚えのある幼女の声が私を振り向かせる。そこには『猟犬』部隊の他三名がそれぞれご馳走を持って立っていた。特に黒髪男。なんだその食事の量は。あと何故フライドチキンにホイップを塗る。
「このパーティに呼ばれたのは何個か理由があってだな。昔助けた此処の社長がどうしても来てくれと言うのでな。それにここの会社は助けて以来、我らに多額の寄付金を払い金銭面で助けてくれているのだよ。流石に一杯寄付されて招待された宴会に出ないと言うのはあれなのでな。」
「へ、へー。お父様が貴方達に助けて…へー。」
「お主ここの会社の娘か!こりゃあ偶然も偶然だな!」
大きく高笑いする隊長の声に誘われたのか、堅苦しいスーツを着た私のお父様が嬉しそうな顔をして現れる。
「これはこれは、『猟犬』の皆様!この度はお忙しい中会場にお越し下さり、ありがとうございます!」
「おう!招待ありがとう、中本よ!今晩はたらふく食わせてもらうぞ!」
何とも奇妙な組み合わせである。
66人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時