第二十三話「崇め称えよ私を」 ページ24
逢引逮捕事件から早くも三日が経った。
今日はまだ喫茶店に顔を出せずに私は大人しく講義を受けていた。大学の事件から大分時間が経ち、今にも風化しつつある中私は今まで通り静かに一人で新しい教授の授業を真面目に聞いていたのである。10分前迄は。
「Aさん。そろそろ私の話を聞いて頂きたいのですが。」
「猟犬って暇なの?仕事に行きなさいよ犬。」
「なら、静かにしますのでこの講義が終わったら聞いてください。」
私の隣の隣に厄災が座り、私の耳元で馴れ馴れしく声を教室に静かに響かせながら胡散臭い笑みを浮かべているのである。
「何アレ、またあの男?」
前方から聞いた事がある声が私達の方に投げ付けられた。声のした方へ向くとそこには何時ぞや私に集団暴行で顔に石をぶつけた女集団が私を憎そうな目で睨み付けていた。
憎そう。といっても、私は実際何もしていないのだが。きっと彼女達は私を褒め称えているモブ集団を何ともないような表情で乗り過ごしている態度が嫌なのだろう。
「………そういえば貴女は周りから大層褒められていましたね。」
「え、今先刻静かにすると言ったばかりなのに直ぐに約束破ってきた。」
「そうですね。貴女はとっても美しい!!!!」
「うっわうるっさ!!講義中でしょ静かにしなさいよ!!」
「貴女が美し過ぎて周りの女性が霞んで見える!!」
彼の大きな喧嘩を四方八方に売った声の所為で私の周りに居た生徒が私達に視線を向ける。特に女集団は一段と驚いた顔で見ていた。
「嫌ですねー。霞んで見える上にもし、もしもですが、醜い行動を取ったらもっと霞んで顔さえも見分けがつかなくなってしまう。まぁ、そんな莫迦がする行動Aさんにしないと思いますが。」
図星だろうか、驚いた顔から面倒臭そうな表情を浮かべる。するとリーダー格の女子が口を大きく開く。
「え、彼氏か何かか知らないけど、私達の事馬鹿にしないでくれる?彼女の為、とか思ってると思うけど、痛いわよ。てか今講義なの。黙ってくれない?」
「誰です?霞んで何を言っているのか分かりません。そんな貴女方ブス達は身の程を知って彼女を他の有象無象と同じく崇め称えなさい。もし彼女に嫉妬しているのであれば他者を陥れる様な愚行はせずに自分を磨く事をオススメします。」
女集団に軽く文句を言った瞬間、講義の終わりを知らせる鐘が鳴った。教授は慌てて「これで終わります。」と言い、無理矢理講義を終わらせた。
第二十四話「事件ですよ、みんな集合!」→←第二十二話「What if」
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時