魔界の王子様！ 2 (ページ45)

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95.開始へのカウントダウンページ45

「何のショーだろね？」

甘い雰囲気をぶち壊されながらも気を取り直して聞いてくる彼女の腕を乱暴に引っ張った。

「帰るぞA」

「えっ！？」

恐らく狙いは彼女だ。一体何考えてんだあいつ…。それよりもあいつに恋人が人間だってバレたことの方がやばいか？いや、一番やばいのは…。

「ちょっとクロ！まだ帰りたくない！」

「早くここから出るんだ！」

嫌だと首を振る彼女を強引に引っ張って引きずる。それでも全然言うことを聞かない彼女の腕をより強く引いた。

「痛いっ！！痛い痛い！！」

「あっ…悪りぃ…！」

痛がる彼女の手を慌てて離すとその目から涙が溢れた。

「わ、悪かったって…」

「クロ…そんなに私とのデート嫌？」

「そうじゃなくてっ…！」

『じゃあショー開始までのカウントダウン始めるっすよ～！10、9、8、7…』

俺が否定しようとすると弟の陽気なアナウンスがか
かりカウントダウンが始まる。他の客達は何の疑いもなく一緒にカウントダウンし始める。

「Aっ…！」

彼女を離れないように強く抱きしめた。

「俺はお前のことが好きだ…それは変わらねぇ…」

「クロ…？」

「だから…今から何が起こっても、俺から絶対離れるな…！」

腕の中の彼女がコクリとうなづいたのを見てカウントダウンが続くスピーカーを睨む。

『3、2、1…レッツショータイム、っすよ♪』

パチンッと指を鳴らす音が聞こえ、弟の魔力を感じた。それは水族館中に広がり一瞬にして全体へとかかる。だが、魔力がかかった感じが一向にしない。周りの人間達も、腕の中の彼女も。

一体何に…？

俺は不思議に思って顔を上げ水槽を見た。すると、何かが勢いよくこっちに向かってきている。

「まさかっ…！」

俺は嫌な予感がして彼女を抱き抱え背後に飛び退いた。次の瞬間…

パリィン！！

とガラスが破れ、体当たりしてきたサメが俺たちに
向けてパックリと口を開けてきた。