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私は兵舎の入口の正面から中に入ろうとする。
「貴様、どこの所属だ？階級は？」
門番をしていた兵士に呼び止められた。
「二十七聯隊所属、上等兵。黒木木花だ」
「ッ、黒木上等兵⁈あなたは造反組の監視をしているのでは……？」
やはり私が情報を流していないことを、鶴見中尉は本部に伝えていなかったのか。
「ああ。だから今日はその報告に来た。急いでいるのだが、もう行っても？」
「あ、呼び止めてしまい大変申し訳ございませんでした！」
私はそのまま兵舎の中へ入ることに成功した。
この方法をとって正解だったな。
まあ、抜け出す時が問題だが……。
バンッバンッ
「ッ！」
銃声、上からか！！
私は階段を駆け上がって行く。
二階の踊り場についた時、声が聞こえた。
「ちょっと待って！白石は殺さないでくださいッ！鶴見中尉に叱られてしまう！私がッ！」
聞きなれたその声が止むと共に、私は部屋の中へ勢いをそのままに入り込み、白石に向けられていた銃を蹴りあげた。
それと同時にまた銃声が響く。
「杉本ッ！」
「なに！！……ぐあッ」
なにか言おうとしていた淀川中佐の頭を壁に足で叩きつけ、杉本の名を叫んだ白石を見る。
すると、白石の前に杉本が立ちはだかっていた。
恐らく白石を庇ったのだろう。
当たっちまったか……？！
「杉本、逃げろ！窓だ！」
私が叫ぶと、杉本は白石の腕を引く。
「俺は不死身の杉元だッ！！」
ガシャンと音を立てて窓を壊し飛び降りた二人を見送った私は、鯉登に向き直る。
淀川中佐は先程頭を打った衝撃で気絶していた。
「お前……裏切ったんか」
「裏切ってなどいない」
失望したと言わんばかりの表情と声色で私に弱々しく言ってきた鯉登にはっきりと答えた。
「私は元々鶴見中尉に着いた覚えはない」
その言葉に、鯉登は怒りとも悔しさとも、あるいは哀しさとも言えるような顔をした。
「黒木！お前は上等兵だろう！！父君の名声を継ごうとは思わんのか！！」
そうか……お前には何も話したことがなかったな。
「鯉登」
私は吹っ切れたような声色で彼の名を呼んだ。
杉本達が飛び降りた窓枠に片足をかけ、ふりかえる。
「私はもう軍人ではない」
そう真剣な表情で言った私の左手には、土方さんから貰った刀が、見せつけるように握られていた。
鯉登の顔整った顔が歪むのを見届け、私は窓から飛び降りた。
その時受けた風は、妙に冷たく感じた。
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
