薩摩隼人 ページ47
あれからなんの会話も生まれず、淡々と作戦成功の時を待っていた。
このまま何事もなく終わってくれればいいが……。
そんな私の願いを壊すように、双眼鏡を覗いた尾形が告げる。
「鯉登少尉が慌てて入っていった」
「なに⁈」
その名に驚き、声を上げた。
「まずいぞ、これは。やつは鶴見中尉お気に入りの『薩摩隼人』だ」
鯉登音之進。
第七師団の少尉である薩摩隼人。
その男こそ、私に軍刀を送った少尉、その人だった。
鯉登は鶴見中尉に仕込まれている。
淀川中佐ほど簡単に騙されてはくれない。
それに、あいつは薩摩弁を使える。
一応話してはおいたが、鈴川が本当に対策できているのかは分からない。
私は拳をにぎりしめる。
覚悟を決めろ。
次の瞬間、私は木から飛び降り、兵舎へと駆け出した。
「ッ！おい！黒木！」
後ろから尾形の声が聞こえる。
「私は中から攻める！何かあったら援護しろ！」
足を止めないままに、尾形に指示を飛ばす。
兵舎まで辿り着き、外から壁を背にして、中の様子を伺う。
まだ騒ぎにはなっていないようだが。
さて、これからどうする？
私は顎に手を当て思案する。
鈴川が上手く鯉登を騙せる可能性もあるにはある。
だが、何せ準備時間が短い。
あの詐欺師がどこまで対策しているのか分からない限り、絶対に平気だとは言えない。
無事に白石を取り戻せる可能性の方が低いだろう。
いっその事バレてしまう前に突撃して武力行使に出るか。
いや、ここは第七師団の巣だ。
あちこちから虫が湧く。
そんな大人数を相手に逃げるのは難しいのではないか。
ならば——。
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
