内通 ページ38
杉本がなにかに気づいたように声を上げ、立ち上がる。
「どうした？」
土方さんが疑問の声をあげると、杉本はその膝からアシㇼパを抱き上げ、隅に寝かせる。
ほんとにどうしたんだ？
「思い出したよ」
杉本は私の心の中の問いに答えるように話し出した。
「あの時鰊番屋に現れたジジイはあんただな」
鰊番屋って、辺見の一件があった時か？
その頃私はまだ鶴見中尉のところにいた。
だがまさか、以前に接触したことがあったとはな。
「白石はアンタたちと内通していたのか」
「ッ！」
「白石が内通？」
キロランケが聞き返すと同時に私は目を見開いた。
そうだ。
あの時白石はもうこちらへ入っていた。
土方さんと会ったなら白石はすぐに気がついたはずだ。
しかし、杉本の口ぶりから察するにそれを杉本たちには言わなかったのだろう。
「だとすれば、結構前からだな。私が杉本たちの陣営に入るもっと前」
私は土方さんを真っ直ぐに見据える。
……やはり警戒は怠るべきでは無い。
「白石はカムイコタンで俺の手を掴もうとするとき……確かに躊躇した。白石が俺達から離れようとしていたと仮定すると…ひとりで朝っぱらに月形で旅館の外をふらついていたことや、あれもこれも合点がいく。考えられるとすれば杉本の言うように白石がずっと前から土方歳三と内通していたことだが……」
キロランケが長々と話す。
だが、どうにも信じ難い。
杉本やアシㇼパと一緒にいる時の白石がずっと嘘をついていたなんて、私には思えなかった。
「この状況ならもう過ぎたことでは？」
永倉がなんでもなさそうに言った。
「そりゃ、そちらにとっては過ぎたことだろうがな」
私は少し視線を鋭くして、今度は永倉を見た。
「一度でも裏切ったやつは何度でも裏切る」
低い声で言った杉本は怒っているように見えた。
まあ、当たり前と言えばそうなんだが。
「杉本……殺さなくて済む人間は殺すな」
いつの間にか起き上がっていたアシㇼパがはっきりと口にした。
アシㇼパにとって、どこまでが殺さなくて良い奴なんだろうか。
私たちは、その線引きが曖昧だ。
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
