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「犬童？網走監獄の典獄？」
鈴川の提案に牛山は聞き返した。
「似てるのか？」
「似てないですよね？」
「似てない」
杉本の問いに永倉と土方さんが揃って返す。
にしても……。
「なぜよりによってあの男なんだ」
私は気持ちを隠すことなく、不機嫌そうに呟いた。
「え？黒木も網走監獄の典獄を知ってるのか？」
「知ってる。まあ、一度会ったきりだがな。……私はあの男、嫌いだ」
杉本に答えるついでに余計なことを口走ってしまった。
何をされた訳では無い。
だが、樺戸監獄に行った際に会ったことがある。
博文の隣に立つ犬童四郎助。その男を見た時、私は感じたのだ。
——近づいてはいけない——
あの時の血液がざわめくような感覚は今でも忘れていない。
いったい犬童のどこがダメなのか、自分でも未だに分かっていないのだが。
「俺も犬童を知ってるがね、顔の骨格は近い気がする」
鈴川は髭を撫でながら続けた。
「誰か実在の人物に成りすますってのはその人物と似ていない部分を減らすってことだ」
詐欺師の心得なんて興味は無いが、その言葉は何かこれから役に立ってくれる気がした。
変装、いつかするときはこの言葉を思い出そう。
「まず髪を切り、眉毛も薄くする」
家永の手を借り、似ていない部分を剃り落としていく。
「髪の毛を前に流していたっけ」
「おお……なんとなく似てきたかも」
牛山が少し驚いた声を上げた。
確かに似てきたが、やはり顔つきが少し違う。
顔の造形は簡単には変えられないが、本当に平気なんだろうか。
「第七師団内に網走監獄の典獄と親しい人間はいる可能性は低いが、よほど似てないと、多少面識がある人間にならバレちまうぞ？大丈夫か？」
私と同じく心配になったのか、尾形が言った。
「犬童は…厳格で潔癖。規律の鬼といわれながらも個人的な恨みで私を幽閉する矛盾を持ち合わせている。心の歪みが顔に現れている」
「確かに……性格って顔に出るよな。ヒグマもキツネっぽい顔つきして睨んでくるのは気性の荒いヒグマだって。そうなんだよね？アシㇼパさん？」
確認をとろうと杉本がアシㇼパを呼ぶが、返事は無い。
「ダメだ…おねむの時間だ」
「もうそんな時間か」
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
