昔の話をしよう ページ4
夜も深け、空には星が瞬いている。
「なあアシㇼパさん…やっぱどこかで土方に会ってないかな？どうもあの顔に見覚えがあるんだよな…」
「ダメだ杉本」
「ん？」
「もう寝てる」
私はいびきをかく牛山の上に寝そべるアシㇼパをさしながら言った。
「あ……なぁ、黒木は土方に会ったことがあるんだろ？信用…できるのか？」
私は杉本の言葉に少し驚く。
まあ、杉本は土方さんに会ったばかりだしな。
「土方さんと出会ったのは今から九年前。私が十二の頃だ」
「え⁈」
急に杉本が声を上げたものだから、私も体を跳ねさせてしまった。
「なんだよ」
私が眉間に皺を寄せて言うと、杉本が少し申し訳なさそうにしながら続ける。
「九年前に十二歳って……ことは、今の黒木の歳は……」
「二十一だな」
それが一体なんだと言うのだ？
私が心底どうでもいいというように声を出すと、杉本は「若ッ！」とまた大きな声を出した。
ああ、そうか。
「言っただろ？私は鶴見中尉のコネで軍に入ったと。当時私は十六歳だ」
そういえば詳しい時系列は話していなかった気がする。
「じゃあ……黒木も戦争に出たんだよな」
遠慮がちに尋ねてくる杉本。
「もちろんだ。私は日露戦争と旅順攻囲戦に出た」
杉本は驚きとも軽蔑とも言えない……哀れみという言葉が一番あう表情を浮かべた。
「その歳でか……？」
私はその顔を見ていられず、目の前で散る火の粉に視線を落とす。
「歳など、結局はなんの関係もない。私よりも年上の兵士たちは次々と死んで行った。土方さんはかなり歳はいっているが、今でも生き生きとした戦いをこなすことができる。戦争での生き死にを決めるのは、自分の持つ力だ」
杉本は軍帽のつばを握り、言う。
「違いないな」
なんだか暗い空気になってしまった。
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
