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「私達は今ぐらいの時期を『少しウバユリを掘る月』とか『どっさりウバユリを掘る月』と呼ぶ。ハルイッケウ…『食料の背骨』と言うくらいウバユリは大事な食べ物だ。花の咲くトゥレプを私たちは雄の株と考えている。雄は種を飛ばしてトゥレプになるから絶対とってはいけない。雄の近くにある雌の株を掘り起こす。掘ってきたユリ根(鱗茎)を一枚ずつはがして洗う。トゥレプの加工は水をたくさん使うから河のそばでやる」
アシㇼパの説明どおりの手順を踏み、私たちはみんなで川辺へとやってきた。
「エッサオーホイ♪ホイヤーホイ♪」
アイヌの女たちが歌うように声を上げていた。
杉本はそれと一緒になってユリ根を潰している。
「イウタニ(杵)とニス(臼)でユリ根をすり潰す」
「黒木、交代するか？」
いや、それ私から言うべきでは？
なんて言葉が浮かんだが、口に出すことは無かった。
私は杉本が持っていた杵を受け取り、同じ作業を繰り返す。
私も正直、仕事をもらえて少し安心したのだ。
見ているだけだとしのびないからな。
にしても、このイウタニという道具、何となく既視感がある。
昔見たことがあるんだろうか。
「オイそれさっき囚人の頭を殴ってたやつだろ」
尾形が女に言った言葉で、その既視感の正体が分かった。
ああ、あれかぁ……。
しばらくして、潰し終わったユリ根をどうするのか、またアシㇼパが説明してくれる。
「これに水を加え袋で漉すと澱粉がたまる。アイヌのオオウバユリの最大の利用方法はこの澱粉で団子を作ることだ」
「なるほど！お団子を作ろうとしてたのか！」
やっと何を作るのか分かった杉本が声を上げた。
「濾した澱粉はさらにわけられる。一番細かいのは胃腸の薬用であまり食べない貴重なもの。二番目に細かいのが普段食べる団子になる」
アイヌの団子……甘いのかな？
「袋に残ったカスも発酵させ、丸めて火棚に吊るしておく。アントゥレプ アカム(発酵させたウバユリの円盤)といって、冬場の貴重な保存食になる」
そうか、冬は山菜や獲物が少なくなるから保存食がないと飢え死にしてしまう。
保存の効く方法を作ることで、冬の食料難を防ぐんだな。
「このカスで作った団子は美味いの？カチカチだけど」
「水で戻して食べる。あんまり美味しくないからおかゆに入れる」
あ、美味しくないんだ。
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
