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〈掃除中〉
「このアリでっけぇ！」
「なあ……まだなの？」
「短気な奴はモテないぜ、牛山」
長すぎる掃除時間に私たちは暇を持て余していた。
尾形は暇すぎて蝶を追いかけ始めている。
こいつ、やっぱ猫みたいなとこあるよなぁ。
「むかし、和人の偉い役人がアイヌの案内で北海道の奥地を見て回ってる時、土砂降りになって雨宿りさせてもらおうとアイヌの家に行ったけど、アイヌはこの手続きをきっちりとやって中に入れた時は雨が止んでいだという話がある」
アシㇼパの話を聞いていると、中からさっきの若い男が出てきた。
「アフプ ヤン(どうぞお入りください)」
「あッ」
男は杉本に手を差し出した。
「全員で手を繋ぐのか？」
男、杉本、尾形、私、アシㇼパの順に手を繋ぐ。
私は手を繋ぐ前に帽子を外してから、アシㇼパに手を出した。
アシㇼパはその手を握り返しながら私と同じように鉢巻を外そうとする。
だが、その手は途中で止まってしまう。
「どうし……」
私は疑問の声を上げる途中で、その意図に気づいた。
なんだ。
私よりこの子の方がよほど賢いんじゃないか。
私はアシㇼパの視線に頷いたあと、前を向き、家の中へと入っていく。
中には一人の老人と、口の周りに刺青を入れている女が座っていた。
この特徴的な刺青。偽物じゃない。
ということは少なくともこの女は間違いなく本物のアイヌだ。
しかし、逆に老人の方は他の男と同じく耳たぶが見えず、アイヌであるという確証が得られない。
私たちは入っていった順番に奥から席につく。
すると、老人が両手を擦り合わせ、軽く持ち上げたあと口に手を当て、下ろしながら「イランカラプテ(こんにちは)」と告げた。
……ダメだな。こいつは。
「真似しろ」
「こうか？」
杉本に言われた通りに老人の真似をする牛山。
「ムシオンカミ」
突然老人を指さし言ったアシㇼパに、皆がポカンと口をあける。
「え？なに？」
杉本が戸惑うのと反対に、私は「ははッ」と軽い笑い声を上げてしまう。
女も笑いが込み上げ耐えきれなかったのか、吹き出してしまった。
「この子は…どうしてあんたらといるんだ？」
「あー…ちょっと駄賃をやって案内をさせてるんだ。俺たちはこうやってアイヌの村にも滞在したりするんでね」
エクロクは杉本の答えに「そうか…」とだけ返す。
「家族を紹介しよう。そっちに座っているのは私の妻のモノアだ。こっちの若いのは弟の……「オソマ行ってくる！！」」
「へ？」
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123 - コメント失礼します！気になる方がいるかもしれないので、一応言っておきます。杉"本"ではなく杉"元"だと思います！ (3月8日 2時) (
レス) @page25 id: b93e4a83e3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - プスメラウィッチさん» ありがとうございます！続き更新しました！！毎日2.3話ずつを目安に書き進めていこうと思っています！もしかしたら一日空いてしまったりするかもしれませんが、できる限り毎日更新していこうと思いますので、覗きに来てくれると嬉しいです(*^^*) (2月16日 0時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2月15日 21時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年2月15日 0時
