・ ページ10
娘の齢は四つになった。
ここまで育てば死ぬことはないだろうと考えた母は父から家へ帰ると電報を受けたことをきっかけに、娘をアイヌの村に迎えに来た。
だが、産まれてすぐに預けられた娘が母の顔など覚えているはずもなく、家へと帰ることを拒んだ。
アイヌの人々は娘を連れていかないでくれと懇願したそうだが、母はそれを押し退け、無理矢理連れ帰った。
それからは地獄だった。
時折帰ってくる父に暴行を受け、その父がいない間は家を追い出される。
娘は追い出されるたび、森を一人彷徨い、行くあてもないまま、ある時は同じ緑の広がる森林を、ある時は枯れ木に吹き去る冷たい風を感じつつ白い雪に足跡をつけ、またある時は赤や黄金に輝く道を踏みしめた。
あの日、また娘は家を追い出された。
前日殴られた傷が、冷たい冬の空気に痛みをあげた。
家から離れた場所で足を止め、雪の上に座り込んだ。
臀部から伝わる冷たさも、殴られた傷の痛みも、この意味の無い人生も、全てが嫌になった。
娘は幼いながらに悟っていた。
自分は一生このまま、暗がりを一人歩き続けるのだと。
そして、絶望していた。
そんな娘に、誰かが歩み寄ってきた。
娘が顔を上げた先にあったのは、アイヌの服を身に纏う、顔に大きな傷のある、綺麗な青い目を煌めかせる男の姿だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おほしさま - ぴーなっつさん» わぁ〜！ありがとうございます！！！私も自分の書く夢主ちゃん好きなので、そう言って貰えるととっても嬉しいです！！*.(*´͈ ˘ `͈*).* 尾形オチ！なるほどです！参考にさせて頂きますね！ありがとうございます！！ (2月15日 0時) (
レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなっつ - 夢主さんの性格がめっちゃ好みで最高です！このまま尾形落ちが個人的には最高です、、 (2月14日 22時) (レス) @page50 id: e98b8983e0 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - るるるさん» いえいえ、気遣ってくださりありがとうございます^^ (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - そしてオチへの意見ですが、私はまったく気にしません！むしろ意見をいただけて嬉しく思います^^でも、他の方の作者さんがどう考えるかは分からないので、なるべく控えるようにした方がいいかもしれませんね！注意してくださった方、ありがとうございますm(_ _)m (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - コメント急に増えてて驚きですΣ( ˙꒳˙ )尾形、鯉登、月島オチですね！！わ〜迷っちゃうなぁ(*´ω｀*) (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おほしさま | 作成日時：2024年1月22日 2時
