隠滅 2 ページ40
改めて席につくと、家永が料理を運んできてくれる。
「なんこ鍋でございます」
グツグツと音を立てる鍋。それから香る匂いに食欲が刺激される。
「夕張を含む空知地方の郷土料理で炭鉱夫のあいだで広まったらしいです。腸を味噌で煮込んだ、いわゆるもつ煮ですね」
家永が作ると言った時には何が出てくるかと思ったが、わりとちゃんとしたもの作れるんだな。
「オイ、家永。この肉…大丈夫なやつだろうな？」
料理を口にする前に白石が確認をとる。
「ご安心ください。『なんこ』とは方言で馬の腸という意味ですから。馬のものを使っています」
それを聞いた途端、キロランケが口に入れたものを吹き出した。
馬好きにはキツかったか。
私は動物は好きだが、それを食べることには抵抗がない。
まあ、実際に仕留めたり皮を剥がされたりするのを見るのは辛いものがあるが、命を頂いた以上それを無駄にすることはしたくない。
「……あんたらその顔ぶれでよく手が組めてるな」
横目で土方さん立ちを見ながら杉本が言った。
「特にその鶴見中尉の手下だった男…」
杉本の言葉に鍋を食べていた尾形が反応する。
「一度寝返った奴はまた寝返るぜ」
暗い目をして尾形を睨む杉本。
「杉本…お前には殺されかけたが、俺は根に持つ性格じゃねえ。でも今のは傷ついたよ」
からかうような口調で返した尾形に、私は小声で「どこが」とつい口にする。
「大体、それを言うならそいつはどうなんだ？なあ、狂犬様よ」
「お前もしつこい男だな」
その言葉に私は尾形を横目で見る。
「狂犬ってなんだ？」
アシㇼパが疑問を放った。
それに続けて杉本も言葉を発する。
「そういえば、坑道で動けなくなったときも黒木言ってたよね」
——私は天下の狂犬様だッ！——
「こいつが？」
訝しげな顔で杉本を見て言った尾形。
「黒木も俺と同じようにあだ名されてたのか？」
杉本が私に聞いてきた。
「……私のはお前みたいに大層なもんじゃねえと思うがな」
小声で一言呟いた後、杉本とアシㇼパの問いに答える。
「杉本の言う通り『狂犬』ってのは軍での私のあだ名だよ。だが、多分私のは杉本とは違って栄光を称えるものじゃないと思うぜ。どちらかと言えば悪い意味の方が強かったんじゃねえか？」
薄笑いを浮かべて言った私。
尾形は何も言わない。
ただじっとこちらを見つめていた。
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おほしさま - ぴーなっつさん» わぁ〜！ありがとうございます！！！私も自分の書く夢主ちゃん好きなので、そう言って貰えるととっても嬉しいです！！*.(*´͈ ˘ `͈*).* 尾形オチ！なるほどです！参考にさせて頂きますね！ありがとうございます！！ (2月15日 0時) (
レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなっつ - 夢主さんの性格がめっちゃ好みで最高です！このまま尾形落ちが個人的には最高です、、 (2月14日 22時) (レス) @page50 id: e98b8983e0 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - るるるさん» いえいえ、気遣ってくださりありがとうございます^^ (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - そしてオチへの意見ですが、私はまったく気にしません！むしろ意見をいただけて嬉しく思います^^でも、他の方の作者さんがどう考えるかは分からないので、なるべく控えるようにした方がいいかもしれませんね！注意してくださった方、ありがとうございますm(_ _)m (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - コメント急に増えてて驚きですΣ( ˙꒳˙ )尾形、鯉登、月島オチですね！！わ〜迷っちゃうなぁ(*´ω｀*) (2月14日 19時) (レス) id: 4b9eb9562c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おほしさま | 作成日時：2024年1月22日 2時
