誰の行方ゴールデンカムイ夢小説弍 (ページ7)

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「ヒンナの意味は私も知ってる。食事への感謝を表す言葉だ。使ったのは初めてだがな」

「知人にアイヌがいたのか？」

今度はアシㇼパがオハウを啜りながら私に質問を投げかけた。

「知人というか、母がアイヌだったんだ。詳しい文化は知らないが、言葉なら大体わかる」

「金塊のことは母親から聞いたのか？」

杉本が少し低めの声で聞いてくる。

「違う。私は金塊のことは軍で言われるまで知らなかった。それに、もう母は死んだ。新しく得られる情報もない」

真っ直ぐ杉本を見つめて答える。

すると杉本は、気まずそうに目を逸らしたあと、小さな声で「悪い」と謝罪をした。

別に私は気にしていないのだが。

「黒木」

アシㇼパが、真剣な面持ちで私の名を呼んだ。

「杉本は女は軍人にはなれないと言っていた。ならどうしてお前は軍にいたんだ。お前の目的はなんだ。知ってること、全部私たちに話してくれないか」

私は少し間を空け、コトンと飯盒を下に置き、目を閉じて心の内で呟く。

あの子に向かって。

ノチウ、私はようやく一歩、前に進める。

「全部、話す」