誰の行方ゴールデンカムイ夢小説弍 (ページ6)

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「出来たぞ！イセポのオハウだ！」

アシㇼパの声と共に食欲をそそるオハウの香りが広がる。

「美味そうだな」

そう言うと、アシㇼパが杉本の飯盒の蓋によそって手渡してくれた。

「さぁ、黒木のぶんだぞ。沢山食べろ！」

その純粋な笑顔を見ると、こちらにも移ってしまう。

「あぁ。ありがとう」

杉本、白石、アシㇼパ。
皆が口の中へと汁を運んでいく。

私もそれに続けて、手元の汁を口にした。

「ヒンナ、ヒンナ」「ヒンナだぜ」「ヒンナぁ」

口々に告げるその言葉。
実際に使っている者を見るのは初めてだった。

母から意味も合わせて教わってはいたが、母自身が使っている所を見た事がなかったのだ。

「ヒンナ」

私たちの血肉となり溶けていくイセポへの感謝を込めて、その言葉を口にした。

「あれ、Aちゃん意味知ってるの？」

私は怪訝な表情を浮かべた。

「な、なに？なんかまずいこといった？」

その態度に焦り出す白石。
だが理由は簡単だ。

白石が当然のように私のことを名前で呼んだ。
気にしない振りでも良かったが、やはり修正しておいた方がいいだろう。

「私のことは苗字で呼べ」

「な、なんで？」

「軍でも一人だけ私を名前で呼んでくるやつがいたが、どうにもなれない。すぐに反応できないかもしれんから、苗字で呼んでくれると助かる」

「せっかく可愛い名前なのに……」なんて文句を言っている白石は放っておいて、話を戻す。