誰の行方ゴールデンカムイ夢小説弍 (ページ48)

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「あのお金、博打に使ったのか…」
「樽の底の油舐めろ」
「やだあッ」

アシㇼパには変な形をした棒で殴られ、杉本には油樽を頭に被せられている白石。

「黒木ちゃん助けてッ」
「……」

白石がこちらに助けを求めているが、それに答える気にはなれなかった。

「く、黒木ちゃん？」
「黒木？」
「どうした？」

アシㇼパと杉本までもが私の様子の変化に気づき、心配の声を上げた。

だが、私はそれどころでは無い。

どうしたもこうしたもねぇ。

少し伏せていた顔を上げ、白石を見る。

「ひぃいッ」

途端、白石は軽い悲鳴をあげた。

今の私はどんな顔をしているのか、杉本も震え気味の声で「く、黒木？」と弱々しく私の名を呼んだ。

ふざけんなよ、そうだ。

こいつが爆薬さえ落とさなければ奪わなくて良い命もあった。アシㇼパの金をこいつが使っていなければ安値なリスはとらなくて済んだかもしれない。

だいたい、自分よりずっと年下の子に金なんか借りて、恥ずかしくないのだろうか。

怒りのままに白石を押し倒し、頭を足で押さえつけ油樽の中により深く突っ込んだ。

「痛いッ痛いッ黒木ちゃんッ許してえええッ」

そばで見ている杉本は震えている。
アシㇼパは割と平気そうだった。

「しばらく苫小牧の勇払に滞在するしかねぇな」

キロランケのつぶやきが、やけに遠くから聞こえた気がした。