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私たちの部屋があった辺りに着くと、人影が見えた。
背があったので一瞬牛山かと思ったが、違った。
「キロランケ！目が覚めたか」
彼の腕の中にはアシㇼパの姿があった。
「あぁ。だが、アシㇼパが気を失っている」
少し眉を寄せている。心配している風だ。
「見せてみろ」
私はアシㇼパの首筋に指を当てるが、しっかりと脈打つものを感じられた。
「平気だ。脈に異常はない。おそらく催眠薬か何かだろう。直に目を覚ます」
「そうか」
「黒木！キロランケ！荷物をまとめろッ！」
こちらへものすごく慌てた様子で走ってきた、
「杉本！」
「地下は火の海だ！すぐに脱出するぞ！」
そう言いながら意識のないアシㇼパをキロランケから受け取る。
そういえば、白石は手投げ弾、きちんと残しているだろうか。
「爆薬を袋ごと火の中に落としちまったッ」
階段を降りかけていた私たちに白石から告げられた。
声を上げる前にバタンと階段の段が閉じられ、平になる。
「ええ？」
当たり前ながら私たちは
「うわあああ」
と悲鳴をあげながら滑り落ちた。
下まで体育座りで滑って行った白石の頭にカンッと器のようなものが落ちる。
「いってぇ」
「何なんだ⁈この仕掛けは」
「ッ、急げ！早くここから出るんだ！」
ドーンッ
……正に危機一髪。
私たちはすんでのところで爆破直撃を免れた。
「チンポ先生は？まだ出てきてない！」
目を覚ましたアシㇼパが心配の声を上げた。
「チンポ先生？」
「牛山のことだ」
「え？どゆこと？」
ドドドドド
「チーンポ先生え〜〜〜〜〜〜ッ」
ものすごい音を立てながら崩れていく建物に向かい、アシㇼパは声を張り上げる。
「はッ」
アシㇼパが何かに気づいたように地面に落ちたものを拾い上げた。
すると、
「チンポ先生…」
「ハンペンだろそれ……」
すかさず、杉本のツッコミがはいる。
まあ、確かにあのコブと瓜二つだな。
「警察や軍も集まってくるぞ面倒になる…ひとまずずらかろう」
「ますます網走ののっぺらぼうに会わなきゃいけなくなってきたぜ。あの不敗の牛山が吹っ飛んじまっていればの話だが……」
……不敗の牛山には、生きていて欲しいものだがな。
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 2時
