誰の行方ゴールデンカムイ夢小説弍 (ページ40)

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「あー！疲れたー！」

私はばたりと部屋のベットに飛び込んだ。
本日二度目だ。

だが……

「さっき寝たせいで眠れないな」

変に目が冴えてしまった。

「はぁ」

私は体を横にかたむけ、大きくため息をついた。

眠気を呼び込むため、ゆっくりとまぶたを落とす。

光は遮られ、深い闇が視界に広がった。

しかし、視界には何も映らなくとも、私の脳内では『あの日』の出来事がまるで今、目の前で起こっているかのように再生される。

まだ雪の残る山道。

自身の吐き出した白い息が雪と同化し溶けてゆく。
見つけた『それ』に、不自然な程大きく早い心音が、私の鼓膜まで伝わった。

全身の血の気が引く。
それなのに頭にはぼんやりと血が上っていくような、そんな気味の悪い、不思議な感覚。

……最低な記憶は嫌になるほど鮮明に蘇るというのに。

あの日、私が山へ帰るとき、自宅へと向かう『足跡』があった。

二人分の足跡。

ひとつは博文のもの。

そしてそのすぐ後ろを着くようにしてあった、もうひとつの足跡。

あの子が、ノチウが殺された現場には博文以外にもう一人いた。

ノチウを見殺しにした者が。

私が駆除すべき害虫は、三匹。

博文、鶴見中尉。そしてもう一人は……

私は閉ざした時と同様に瞼をゆっくりと開けていく。
暗闇になれた目には、先程より室内が明るく見えた。

本当ならば今も首にぶら下がっていたはずの首飾りを握り込む真似をする。

「早く取り返さなければ」

薄れる記憶に怯えながら、私は今一度視界を閉ざした。