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「ここがアシㇼパのコタンか……」
キロランケのところと似ているが、やはり違う。
いや当たり前なのだが。
「そうだ！そしてあそこが私のチセだ！」
アシㇼパが一軒の家を指さした。
「っ、」
その瞬間、身体がゾワッと沸き立った。
「ん？どうした？黒木」
「いや……、私は少しだけ外を見て回るよ。すぐに行くから」
「？そうか。わかった」
不思議そうな顔をしつつもアシㇼパは杉本達と共に家へと入っていく。
なんだろうか。
いま何かが引っかかった。
なにか懐かしいような……
「わん！」
「わっ」
背後からの突然の鳴き声に、驚いて声が出てしまう。
私が振り返った先にいたのは、一匹のアイヌ犬だった。
「あぁ、そうか」
自然とこぼれた言葉は、自分でも驚くほど悲しみで満ちていて。
「私はお前に反応していたんだな」
その子の頭に乗せた箇所から伝わる熱が、いつかの幸福を思い出させた。
頬が緩む。
それと同時に、目頭が熱くなった。
……ダメだ。
今泣いては、あの子に迷惑をかけてしまうじゃないか。
私はゆっくりとアイヌ犬から手を引き、立ち上がる。
「よし、私もそろそろ行かなくてはな」
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 2時
