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「やはりすぐにわかるのか」
……こいつは一体何なのだ。
これはこの言葉を発した杉本への率直な感想だった。
白石は当然だが、アシㇼパも、私だって少なからずの緊張感を持ってこの場にいる。
これからキロランケがどんな行動をとるのか、まだ分からないからだ。
だが、杉本は楽しげにキロランケと会話を交わしている。
先程のようなことを考えていたとしても、文句は言えないだろう。
「こんな真似をできるのはあの人しかいない……」
キロランケの言うあの人とは、おそらくアシㇼパの父のこと。
こんなに心の優しい子どもを育てた父親が、そんな冷酷非道な男だとはな。
蛙の子は蛙とも言いきれないわけだ。
もしくはこの子の心の奥底にはどす黒い何かが秘められているのか……。
なんて、今はこんなこと考えている場合では無いな。
「他にもあるのか？」
「無い」
即答か。
白石とアシㇼパの面持ちがより緊張感のあるものへと変化した。
嘘は真実を混ぜながら話すといいと聞く。
結局は真と偽のさじ加減が重要なのであろう。
「アンタアシㇼパさんの父親と日本へ来たと言っていたな。あんたしか知らないのっぺらぼうの情報があるんだろ？」
話の流れを私たちへの質問からキロランケへの質問にすり替えた。
だが……
上手いこと流されてくれるかな。
私はキロランケの様子を伺うように視線を向けた。
キロランケは子供のイタズラにのってあげるように、笑みを浮かべため息をついた。
「仕方ないな」とでも言いたげだ。
船に乗り込んだキロランケは言う。
「川を少し下ると村がある。今日は俺の家へ泊まっていけ」
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 2時
