仲間 ページ3
聞こえてきたのは火の粉が散る音。
香ってきたのは夜の匂い。
そっと目を開けると、視界に入ったのは草で埋められてできた天井。
それに少しだけ懐かしさを感じた。
……まだ頭が少しぼーっとしているな。
「おっ、起きたか」
聞き覚えのある声をすぐ横からかけられたので、そちらに振り向くと、そこには顔に傷のある、軍帽の男がいた。
「元気そうでなによりだよ、不死身の杉本」
すると、杉本は意地の悪い笑みを浮かべ「お陰様でな」と芝居じみた口調で言った。
「どうして私はこんなところにいるんだ？」
視線を天井に戻し、問いを投げた。
「山でアンタが倒れてるのを、アシㇼパさんが見つけた」
「アシㇼパ？」
「見ただろ？青い目をした、アイヌの女の子」
私はゆっくりと体を起こしながら、海岸での出来事を思い返す。
私の脳内を沸騰させた、彼女の顔、いや眼が頭に浮かんだ。
「あぁ、あの子か」
「出血が酷かったみたいだけど、応急処置がしてあって助かったって。誰か一緒だったのか？」
「……」
目を見開き、手を首元に置いたまま固まっている私を不審に思った杉本が「どうした？」と疑問の声を発する。
「……首飾り」
「え？」
「私の首飾りはどこだ」
なんということだ。起き上がるまで気が付かなかった。
「え、いや、アンタのことは俺がここまで運んだが、首飾りなんてしてなかったと思うよ」
私があれを外すのは風呂の時のみ。
どこかに置き忘れるはずがない。
じゃあ、どこに……。
あれ。ちょっと待て。
私が撃たれたときは絶対につけていたはずだ。
なら、考えられる可能性はただ一つ。
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 2時
