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「起きろー！」
アシㇼパの大声で目を覚ました。
……覚ましたが、
「ゔぅ」
「え！やだなに？！顔怖っ！」
眠い。無意識に眉間へ皺が寄ってしまう。
杉本に怖いと言われたら終わりな気がする。
だが、眠いものは眠いのだ。
「さては黒木ちゃん、朝弱い人だ〜」
白石に両手で指を指しながらムカつく顔で言われた。
「だったら悪いか」
イラッときたので声に気持ちを乗せると「ピュウ〜」と、これまたムカつく顔で言われる。
こいつ……
「おはよう、黒木」
「！おはよう」
アシㇼパがあまりにも優しい笑みで言うものだから、こちらにもうつってしまう。
この子には怒る気になれん。
「笑った……」
「アシㇼパちゃんにだけ態度違くない？！」
杉本が心底驚いたように言った。
私だって笑う。
生きているのだから当たり前だ。
というか、私は結構表情豊かな方のはずだ。
……多分。
白石の言葉は聞かなかったことにした。
アシㇼパへの態度が違うだと？
これもまた当たり前の話である。
支度を済ませ、小屋を出る。
「今日は私のコタンまで行こう。黒木の傷に効く薬も、コタンにならもっと沢山ある」
「すまんな。迷惑をかける」
「気にするな。仕方ない」
謝罪しておいてあれだが、アイヌのコタン、村に行くのは初めてなので内心少しわくわくしていた。
「杉本達はコタンへ行ったことがあるのか？」
四人で山道を歩きながら、杉本に尋ねた。
「ん？あぁ。何度か泊めてもらったことがある。白石もな。優しい人ばかりで、親切にしてもらったよ。特にフチには」
「フチ、アシㇼパのか？」
「そうだ」
「へぇ」
……おばあちゃんか。
私の祖母はどんな人なんだろうか。
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 2時
