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「……それで？私に何をしろとおっしゃるんです？」
この話を私にしたということは、私に何か任務を与えるということだ。
「尾形上等兵が意識を失う前、指で地面に字を書いた。不死身と」
は、不死身？
「不死身、ってもしかして」
私は一拍おいて、その異名を口にする。
「……"不死身の杉本"、ですか」
私の言葉に、鶴見中尉がにっと、不気味に笑った。
「なぜ杉本が尾形を？アイヌの金塊と、何か関係があるんですか」
私がここに呼ばれる前、鶴見中尉が言っていた"あの事"というのは、金塊の事だ。
しかし、杉本と尾形になにか接点などあっただろうか？
不死身の杉本の所属は確か第一師団。
二百三高地辺りで会っている可能性はあるか。
私は話でしか聞いた事ないが。
「新しい囚人の情報が入ったので尾形に向かわせたんだがね、どうやら杉本もどこからか聞きつけたようでな。やり合いになり、返り討ちにされたらしい」
なるほど。
杉本も可哀想な奴だな。
せっかく戦争から無事帰れたのに、新しい、血生臭いこの戦争に首を突っ込むとは。
「杉本をどうしろと？殺せとおっしゃるんですか？戦争の英雄を。白襷の生き残りを」
鶴見中尉に向ける視線の圧を強めて問う。
「いや、まだ殺しはしない。まずは捕らえて話を聞き出す」
……まだ、ね。
「つまり、杉本を捕らえて来たら良いんですか？」
「二階堂洋平、浩平一等卒、ほか四名も同行させる。そして、私も」
「あなたもですか？なぜ？」
その死神は不気味に笑った。
「不死身の杉本を見てみたい」
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 0時
