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「座り給え」
言われた通り、私は椅子に腰掛ける。
ここは鶴見中尉の執務室。話をするために連れてこられた。
「話をするなら、なるべく手短にお願いします」
「ふっ、何故かね。たまにはゆっくり世間話でもしようじゃないか」
「巫山戯るな。私は今すぐにでもこの場から去りたいくらいなんだ。いいからさっさと話をしろ。あんたの顔を見てると気分が悪くなる」
殺気を込めて、低い声で目の前の男を睨みつけながら言った。
いつもなら月島に「敬語」と注意を受けるところだが、生憎月島は席を外している。
今、この場にいるのは私と鶴見中尉の二人だけ。この状況に吐き気がする。
鶴見中尉は私に臆することなく、なんならば愉しそうに口角をあげ目を細めた。
「ははっ、そうだな。では、本題に入ろうか」
また、悪人面に戻った。
あぁ、早くここから去りたい。
「実は、一昨日、尾形上等兵が崖から転落し、重症を負った」
「っ、尾形が？」
「一度だけ意識を取り戻したが、また昏睡状態に陥り陸軍病院で療養中だ」
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作者名：おほしさま | 作成日時：2023年12月29日 0時
