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side…A
『そ、らるさん……大丈夫、ですか?』
砂埃が止んでから、咄嗟に守るように抱き締めたそらるさんに安否の確認をする。腹立たしいことではあるけど、私の身長ではそらるさんを守りきれたかどうか……
「ん、大丈夫……」
腕の中で頷く彼は、見たところ外傷は無さそうだ。ほっと胸を撫で下ろすが、今はそれよりもマズイ
こんな状況。そらるさんの状態。
……何が正しい判断かは、考えるまでもない。
『そらるさん、逃げてください』
今そらるさんは魔力が使えない。というより、使ったは使ったで麻酔が切れれば悪化し苦しむのは彼だ。逃がすのが先決だろう。
「…………霧生」
『此処にいる人達を避難させてください。……なるべく、遠くに』
「……霧生、!」
『あいつらはマズイです。通常のそらるさんでも危な』
「A!」
そらるさんの声にはっとする。
彼に話しかけていたにも関わらず、私は思考の中にいたことに気が付いた。しかも、一方的に彼に話しかけてしまった。
頭の中に蠢いた焦りが目に色に付けた私の目と、そらるさんの目がバッチリ合う。
その目は怒っても、笑ってもいなくて。
「…………ごめんね」
ただただ、優しい目をしていた。
……"ごめんね"?
何でそらるさんは謝ったの?頭の中にあった思考が停止して、そんな単純な疑問だけがぽっかり浮かんだ。
彼の意図が、掴めない。
『……え?』
「………………"転送"」
そらるさんはそんな私の隙をつき、すっと目線を滑らせる。パニックで騒ぐ、生徒達の方__ステージ周辺に。
そして、人差し指で宙に小さな円を描いた。その、次の瞬間に生徒達の声が消えてなくなり、静寂が辺りを包みだす。
彼の言葉の通り……転送したのだと私が気づくのはそれから数秒経った後だった。
(……え、待って、それって、)
そらるさんが謝ったのは
その答えを脳が理解して、先程とは違う冷えきった刃物のような焦りが、心の中にすっと降りる。
そう、それは紛れもなく……"魔法"だったから。
「……みっケ」
「あイつだ、あノ小娘」
5.『最強紋の持ち主である女の子は、ガラクタ同然の武器を持つ』→←4.
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キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時