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『こ、これ……本当に飴なんですか?もう一度訊きますが、食べられるんですよね?』
3組の体育会系の男子が私たち(というより坂田さん)の登場に驚きながらも、手馴れたようにぐるぐる割り箸を回して作り上げたふわふわの塊を見つめる。
「おん、めっちゃ甘いんやで!疑い過ぎやろー」
た、確かに最初に砂糖を機械に入れてたけど……
食べるのを躊躇しながら、まじまじとその"綿飴"を見る私が面白かったのか、坂田さんはケラケラ笑った。
そして、「こうやって、」と私の手に持つ綿飴の一部を手で掴んでちぎりとると口に放り込んだ。
「ん、あま」
『……』
「んもぉ……早く食べんと、俺が食うで?」
……目が本気だ。覚悟を決めねば。
私は坂田さんと同じように一部、いやほんの一部をちぎって見つめてから……口に入れた。
するとあらびっくり。唾液に触れた途端にふわふわはじわ、と溶けて、無くなってしまったのだ。だが、
『…………あま』
やけに口内に残る糖がなんとまぁ、酷く甘々だ。
成程、"綿"の余韻が無い分、"飴"が残してくのか……
「……甘いやろ?」
『はい、すごく……甘い』
「でしょでしょぉ??俺にもちょーだい」
はい、と差し出すと、坂田さんはなんと今度は綿飴にかぶりついた。え、それ口の端ベッタベタなやつ……
ボーゼンとして見ていると、坂田さんは口の端の糖を舌で掬いながら私に、「Aも」と私の手首を持って口元に近づけてくる。
だから私は頷いて、唯一食べやすそうな形になっていた坂田さんの齧った所に同じようにかぶりつく。
「…!」
『うおぁぁ……あ、あまぁ〜……』
「……こ、こんな見た目でも砂糖、やからね」
そのまま全部2人で(まぁ、ほぼ私だった)食べ終わる。持ち手だった割り箸をゴミ箱に捨ててから坂田さんの方へ行くと、「次行こか!」なんて無邪気に笑う坂田さんに手を差し出された。
私は躊躇うことはせずにその手を取って、歩き出す。
そういえば、センラさんは何処へいるのやら……
「(…………間接、きす……!)」
この時前を歩く坂田さんの耳に紅が差していたことも、私は知らない。
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キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時