運命交響曲 20 ページ22
『次はーー、ーー。』
『お降りの方は、お知らせ下さい』
そうこうしているうちに、私が下車する所までやってきた。
すぐさまボタンを押して、隣りにいる倉間に声を掛ける。
「倉間、」
小さく肩を揺らすと、倉間もようやく目を覚ましたようだ。
欠伸をして「あんだよ」と唸り、目を擦る。
「私、次降りるんだけど」
倉間は目を開いて前を見る。
次のバス停を確認したのか、「あー、だな」と言った。
バスが止まり、扉が開くと倉間が立った。
私も立ち上がり鞄を肩に下げる。
そして、
「じゃあ、ね？」
と倉間に挨拶をすると、余所見をしていたせいか、段差で体のバランスを崩してしまった。
「わッ」と小さな声をあげると、倉間が私の腕を軽々と掴み持ち上げてくれた。
なんとか転倒は避ける事が出来たが、恥ずかしい。
「ご、ごめん」
と小さく謝ると、「危なっかしいんだよ」と倉間も小さく呟き、
そのまま私の手を自分の手と繋ぎ、扉へ向かった。
ちらりと女子高生を見ると、スマホの下でニヤニヤと笑っていた。
バスの高い段差を降りる。
「倉間ありがとう、もういいから……」
恥ずかしくてそう声を掛けるも、
それも虚しく、倉間は「いーから」と言ってより手をぎゅっと握った。
これは私が危なっかしいからなの？
それとも何か違う意味があるの？
もうわかんないよ倉間。
半ば引っ張られながら帰路につく。
「そういえば倉間、降りる所ここでよかったの？
倉間寝てたしわからなくて、起こした方がよかった？」
「……いや、いい」
『ここでよかった』、
ってことだろうか。
会話もないまま私の家まで着いてしまった。
名残惜しくも手を離す。
今頃になって手汗とか大丈夫だったかと思い出す。
「じゃ、じゃあまた明日」
と小さく手を振ると、
倉間は優しそうに微笑んだ。
暫く倉間の小さくなっていく背中を見つめる。
そして、その背中は暗闇の中へ消えて行った。
.
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佐倉 照：Re(プロフ) - りぃさん» ありがとうございます＾＾そう言っていただけることが何よりです！ (2015年12月22日 16時) (
レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 佐倉 照：Reさん» ヤバイです！むっちゃドキドキした！凄く良かったです！ (2015年12月13日 22時) (レス) id: 7429e82d92 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照：Re(プロフ) - 赤羽 衣央南さん» あ、あはは(遠い目)。その頃はさっさとリク消化しようと必死だったからなあ笑。最近は割と長めに書いてますよ！(言い訳)コメントありがとうございます＾＾ (2015年8月10日 18時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照：Re(プロフ) - ジュドさん» そう言って頂けて嬉しいです＾＾ありがとうございます！ (2015年8月10日 18時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 衣央南 - な、長い...天馬のとくらべたら差が.....尊敬します。 (2015年8月10日 3時) (レス) id: d454bba793 (このIDを非表示/違反報告)
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