運命交響曲 15 ページ17
「中学の頃のサッカー部の先輩で、ポジションは同じFW。
……まあこの人一回俺らを裏切って転校したんだけどな」
あまりにも酷な紹介だった。
先輩はそれでもドヤ顔をしている。
「まあ転校したのは雷門のためっつーか？内申のためっつーか？」
「絶対後者だろ」
まるで漫才のようにテンポのいい会話に、
ついくすっと笑いが零れた。
先輩はそれを見逃さない。
再び私に「顎クイ」をお見舞いして「笑うと可愛さ2倍だな」と口説き文句を言う。
その隣で倉間は先輩の腰にパンチ。
倉間は「気にするな」と短く言った。
「南沢さん、倉間、何サボっているんですか」
緊張感の無い空気に、透き通った声が響いた。
声の持ち主に目をやる。
茜ちゃんお目当ての「シンさま」のご登場だ。
横には「そーだそーだ神童の言う通りだー」と合いの手を送る蘭丸くんの姿もある。
「どいつもこいつもサボりサボりうるせーなあ。
この俺が練習をサボるような奴に見えるか？なあ？ん？」
「「「「…………」」」」
「なんか言えよ!!!!」
見事全員意見が一致したようだ。
このままだと本当にサボりになるため……いや、等々三国先輩からの注意が飛び、
各々再び練習へ取り組んだ。
暫くすると、
ブロックの練習が始まった。
南沢先輩はトイレへ行くと、練習を一時抜けた。
それと共に、倉間もベンチへやって来る。
私の横でドリンクを飲む倉間に、「ブロックの練習しなくていいの？」と問うと、
倉間はさも練習しないのが当然のように、言葉を詰まらせた。
「本当はやるんだろーけど、俺と南沢さんはいんだよ」
「どーして？」
「中学の頃からそうなんだ。南沢さんに教えてもらっった。
『FWは攻めてなんぼ。守ってるFWなんてかっこ悪い』ってな」
その教えが正しいとは思わないが、
倉間は続けた。真剣な表情をしている。
「最初は俺だってはあ？って思ったけどよ。
段々そんな気がしてきて、ついには俺もやらなくなった。神童らだって諦めてる」
倉間は、なんだかんだ言って南沢先輩を尊敬しているのだろう。
じゃないと、きっと先輩の言葉だって無視してるだろうし、
先輩のプレイをあんな真剣に観察する筈がないから。
「そっか、」
「それに、Aと居たいし」
私も、南沢先輩に教えて欲しい。
倉間のそういう言葉は、どんな意味がこもっているのか。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐倉 照：Re(プロフ) - りぃさん» ありがとうございます＾＾そう言っていただけることが何よりです！ (2015年12月22日 16時) (
レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 佐倉 照：Reさん» ヤバイです！むっちゃドキドキした！凄く良かったです！ (2015年12月13日 22時) (レス) id: 7429e82d92 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照：Re(プロフ) - 赤羽 衣央南さん» あ、あはは(遠い目)。その頃はさっさとリク消化しようと必死だったからなあ笑。最近は割と長めに書いてますよ！(言い訳)コメントありがとうございます＾＾ (2015年8月10日 18時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
佐倉 照：Re(プロフ) - ジュドさん» そう言って頂けて嬉しいです＾＾ありがとうございます！ (2015年8月10日 18時) (レス) id: bb3e171dee (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 衣央南 - な、長い...天馬のとくらべたら差が.....尊敬します。 (2015年8月10日 3時) (レス) id: d454bba793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
