やっぱり幽霊なんてないのさ ページ9
朝、何かが欠けているような、妙な感覚を味わいながら目を覚ます。
普段不安要素を作らないようにしているのにも関わらず。
...なにがいけない？
寝坊をしたわけじゃあない。勿論やり残した仕事があるとかでもない。睡眠時間が足りてないわけでもない。いつも通り。
他に思い当たることと言ったら...
『！ キラークイーン！？』
呼んでも出てこない、違和感の正体はこれか。
あまり遠くには行けない筈だし、家中探せば見つかるだろうか。
....もし、見つからなかったら。
過った思考をかき消すように、廊下から誰かの足音がした。
音の方を見るとキラークイーンが壁から顔を覗かせていた。
「いったいどこに行ってたんだ！ ...？ お前、妙に機嫌が良いな」
というか、なんで顔しか見せないんだ？
気になってキラークイーンに歩み寄ってみる。
すると、キラークイーンの腕の中でスゥスゥと眠ってるAがいた。
『？』
何がしたいのかわからず頭を傾げてしまった。
すると、いきなりキラークイーンがAを揺さぶりはずめた。
『お、おい！ 起きちゃうだろ』
「ん...？ おはよう？」
Aは寝起きで今の状況があまりわかっていないみたいだ。
そう言えば、Aはスタンドが見えないんじゃあないのか？
意識がハッキリしたらきっと混乱してしまう。
「...？ 、！？」
ほら言わんこっちゃ無い...！
しかし、Aは思っていたのとは真反対の反応を見せた。
「ち、違うよ？ 浮いてるように見えるかもしれないけど、実はここに幽霊がいてね？？」
まるでキラークイーンが見えているように振舞うのだ。
『見えるのか？』
「え？」
・
『なるほど。じゃあこの子は吉影のスタンドってやつなんだ』
「ああ。でも驚いたよ、まさかスタンドが見えるなんて」
テーブルの向かいでふよふよ浮いてる猫を見る。いや、スタンドと表現した方がいいのか。
「名前はキラークイーン、これからはそう呼んであげてくれ」
自分の名前を呼ばれたからか少し嬉しそうにしていた。
スタンドは精神エネルギーの塊...てことは、昨日甘えてきたのは...いや、これは心のうちに収めておこう。
「スタンドはスタンド使いにしか見えないんだが、もしかしたら君にもいるのかもね。自覚していないだけで」
『！！ ...そう、だね』
なぜだろう、今凄く胸がざわついた。
なにか忘れてる気がする。
...まあ気のせい、だよね？
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作者名：むぎのくろた | 作成日時：2021年12月27日 2時
