夢に見た世界 (ページ45)

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きみが心配ページ45

『ぁ、吉影。久しぶり』

と言いつつ、内心どうしようしか出てこなかった。

多分今世紀一声が出ていなかったと思う。

なんて返って来るかな...どこほっつき歩いてたんだ！とか、何しに戻って来たんだ！とか...

しかしそのどれも違った。

『え！？』

そもそも何も言わなかった、それどころか座り込んでしまったのだ。

『どうしたの！？どこか悪い？熱とかあるの？』

背中をさすって様子を見る。

顔色も悪くない、少しやせたような気がするが、生命に危機に瀕するほどでは無さそうだ。

過労は...まあ多分ないだろう。

『ね、ねえ？』

何も言わないからさらに心配になって来る。

「.......でくれ」

いきなり握られた手に力がこもる。

「もうこんなことしないでくれ」

懇願するようにそう絞り出した。

『...っ＿一旦家に帰ろうか』

色々思うことがあったがそれも後回しで。

久しぶりに、手を繋いで歩いた。

・

「どうして出て行ったんだ」

玄関に入ってまず聞かれたのはその一言だった。

『...迷惑かけたくなくて』

そう一言だけ呟いて家に上がる。

「君がいなくなることの方が迷惑だ」

私はそんな口説き文句に思わず目を丸くした。

『！ははっ、そんなこと言えたんだ』

普段の様子からはとても考えられなくて、思わず笑ってしまった。

(まあちょっと嬉しいけど)

面白そうにしてる私とは対極に彼は至極真っ当な面構えをしているのが、更に笑えてしまう。

『真面目に話すよ、話せることは』

と、向かい合わせに座りながらここ数か月のことを話した。

『スタンドが制御しきれなくて...今は安定してるけど、またいつ勝手に動き出すかわからない。本当は今日、帰ってくるつもりで杜王町に来たわけじゃあないんだ』

『詳しくは話さないけど、走馬灯を見た。自分の知らない記憶ばかりだったけど...その中で、私の知らない弟の頭を撫でてたの』

『どこにいるのか、何をしているのか、生きているかすらも判らないけど、それでも会いたいし、知りたいから調べに来ただけ』

自分勝手と言われるだろうか、それくらい勝手に生きてるから言われても仕方ないけど。

「聞きたいのはそれじゃあない」

『？』

ふと手元にあった目線を彼に移した。

「"迷惑かけたくないから"って、どういうことだ」