夢に見た世界 (ページ40)

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子供みたいなやつページ40

そう強く願ったとき、奴は現れた。

少年ほどの背丈、リボンでできた四肢、ベールで被われた顔。

感覚で分かった、今目の前にいるこの物体が私のスタンドだと言う事に。

「......」

『...？』

夢ではあんなに饒舌だったのに、全く喋らない。

いや、話せない？

するとコクリと頷いて私の考えを肯定した。

そうか、私の精神エネルギーだから考えていることが共有されているんだ。

『筆談ならできる？』

ペンを差し出してそう問いかける。

するとスタンドはわかったと言うようにスッとペンを受け取った。

『貴方は何ができるの？』

＿君が分析したので大体あってるよ。あとは、夢の中にリボンを繋いだ人を連れ込める。経験あるでしょ？

『えっ？う～ん。あれか！』

前にキラークイーンと昔の杜王町を巡る夢を見たが、あれは偶然じゃあなくて、私が無意識に引きずり込んでいたのか。

これも何か使えないか考えておかないと。

『じゃあ次は...あの走馬灯の男の子、誰かわかる？』

＿ん、それは君が思い出さないとだめだよ。僕が教えちゃあ意味がない。

と、ふにゃふにゃリボンの腕を組んだ。...弱そう。

しかし、教えては意味がないとはどういう事だろう？これも覚えておかなくては。

『貴方は、私の意思に関係なく動けるの？』

＿まあ。勿論君の言う事も聞くよ？

ベールの下で見えない筈の顔が、悪戯っぽく嗤ったような気がした。

＿そう言えば前に頼んだよね

『？なにを』

唇に手をやって必死に思い出す素振りを見ると、スタンドは空中で地団太を踏んだ。

＿名前だよ！僕の！

『あァ～...考えて無かったな』

＿ひどい！

と、今度は信じられない！と言うように目を見開いたように感じた。

随分コロコロ感情が変わるやつだな、そう思いながら見ていた。

＿じゃあ今何か考えてよ？

『えぇ？ ...イエスタデイ・ワン・スモアとか』

それを聞くとおぉ、と息を吞み暫く押し黙っていた。

『...嫌なら変えるよ』

＿嫌なんて、これは君が好きな曲だろう？僕知ってるんだから！

そう嬉しそうに、ふわふわとクラゲのように体を弾ませるのだ。

それがあまりにも可愛くて、本当に私のスタンドかと疑ってしまった。

『まあいいや...よろしくね、ワンスモア』

そう言って手を差し出すと、しゅるしゅるっとリボンを伸ばして私の手を包み込む。

キュッと結ばれた温もりが、心地よかった。