自分でもこの先どうなるのかわからん ページ24
(どこに行くんだろう)
車に揺られながら行く先を考える。
馴染みの街がどんどん遠ざかっていくのは、見ていて心に来るものがあった。
家にいたときはどうしようもなかったリボンは、今は無くなっている。
映りゆく景色を眺めながらこれからどうなるのかとか、杜王町にはいつ戻れるかなとか、他愛ないことばかりが脳内を支配していた。
『...ん』
そうこうしていると街並みがガラッと変わった。
あの町から出たことなんてなかったし、知らなかったが、夜でもこんなに明るい街もあるんだな。
というかもう夜だったのか。
「寝ててもいいぞ」
前から声が聞こえてきた。
『いえ、大丈夫です。それより運転変わりましょうか？ 場所さえ教えてくれれば』
「....そうやって他人の心配ばかりなのは変わらないな」
『え？ いまなんて』
「ン？ 変わらなくても平気だと言ったんだが」
『そうですか？』
...なんか、こんなフランクに話す人だったか。
大して話したことは無いけれど、もう少し硬い口運びだった気がする...いや、打ち解けようとしてくれているのかも？ 人は見かけによらないって言うし。
案外優しいひとなのかも。
と、ひそかに心酔しながらハンドルを握る手を見ていた。
・
停止の反動で脳が揺れる感覚がして目を開ける。
『私結局寝ちゃったのか』
ボケた輪郭が段々とあっていく。
「先に行っておいてくれ」
そう言って車を入れに行った。
一人残された私は目の前の建物に目をやる。
「御星守A、で合っていますか」
『？ はい』
「よかった。行きましょう」
と、歩き出す。
置いて行かれまいとその後ろについて行った。
帽子にスピードワゴン財団のロゴが入っていた。
無知な私でも知っているほどの組織だ。あの人はよっぽど太いパイプラインを持っているらしい。
入るとそれこそ研究室のような感じで、なんだか落ち着かなかった。
「ここで待っていてください」
そう言って私を個室に残し、出て行った。
精神病棟の一室みたいで、ベットと机が一つずつ、全体的に白を基調としている。
暫くするとさっきの人が薬を持って戻ってきた。
『これは？』
「スタンドを抑制させる薬で、要は睡眠安定剤です」
「なにかありましたらいつでも」
バタンっ、と扉は閉められた。
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作者名：むぎのくろた | 作成日時：2021年12月27日 2時
